月別アーカイブ: 2013年10月

セレンディビティ

セレンディビティ

先日とある会合で、「データ分析をしていてセレンディビティを見つけることはあまり期待できない」というような話を伺った。その話を起点に少し考えたことをまとめておきたい。

「セレンディビティはあまり見つからない」

確かにそうだと思う。セレンディビティとは簡単に言えば、「探していたものとは別の偶然発見された役に立つもの」である。偶然の産物であるセレンディビティがそう度々あっては、そもそもデータ分析者としての資質が問われることになる。その理由として、次のように考えている。

これもよく言われる話だが、データへのアプローチとしては大きくは2種類ある。1つは仮説検証型アプローチで、「このデータが表わしている世界にはきっとこんなルールがあるだろう」と見当を付けてデータ分析をする方法だ。アンケートデータであればデモグラフィック属性(性別・年齢など)別の集計をしたり、エリアデータであれば距離別や都市人口別に分析することだ。例えば、「高齢者は就寝時刻が早く、深夜24時以降営業してる店には高齢者は少ない」という仮説をもって、24時間営業している店舗(コンビニや飲食店)の客属性を調べて、昼夜で比較するデータ分析などが当てはまる。これらは過去の分析実績や他の知見から仮説を構築して分析するので「想定した(仮説どおりの)結果が出るか出ないか」がアウトプットであり、そこにセレンディビティはない。

もう一つのアプローチは課題発見型である。現状では知覚されている課題はないが、データをいろいろと組み合わせてブレイクダウンしていくことでこれまで気が付かなかった差異が見えてきたり、考えてもみなかったデータの変動の要因が見えてくることがある。このアプローチで発見されるファインディングスは、想定していない内容であればセレンディビティと言える。それでも用意された(あるいは用意した)データとその組み合わせの範囲内でしか発見は起こらない。つまり、このファインディングスも大きな意味では想定内の事象ととらえるべきであろう。

セレンディビティの話題でよく例に出されるのが、「おむつと缶ビール」の話だ。(以下、引用)

紙おむつはかさばるので、ママはパパに買い物をたのみ、スーパーで紙おむつを買ったパパは、ついでに缶ビールを購入していく傾向にある、というのだ。この相関関係が分かっていれば、紙おむつの近くにビールを並べておく、という応用は誰にでも思いつく。出典:TECHON

これは多分スーパーのPOSデータをID付き分析した結果の話である。このようなスーパーのバスケット分析をしていて、「おむつと缶ビール」の相関関係に気づくか、あるいはそれはあまたあるデータ誤差として意識の外に投げやるかは分析者次第である。

そして、多くの分析者はデータ活用者とは異なり、不完全で不安定なデータを見ても見ない振りをする。なぜならば、データ活用者から求められるのが、NEXT ACTIONに対する示唆・支援だからで、検討材料でないからだ。

このようにして、「ファインディングスのかけら」はデータ分析者だけの知見として個人の頭に埋め込まれる。しかし、そのようなファインディングスが繰り返し見られると気がつく分析者も少しは出てくる。データ分析者がデータ活用者の指示ではなく、その目的に合わせて分析結果を吟味・提案することができればもう少しセレンディビティは日の目を見る機会が増えるかもしれない。

その際には、「データ分析者にとってはファインディングスはセレンディビティではなく」、「データ活用者にとってのみのセレンディビティ」となる。

リショアリングは愛国心マーケティングの産物

昨日の朝日新聞朝刊に『ワールドけいざい「米国製」復権の兆し』の記事があった。

「中国などアジアの製品があふれる米国で、「メード・イン・USA(米国製品)」が復活し始めている。米国に、一部の工場が回帰しているためだ。」

(出典:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310260684.html?_requesturl=articles/TKY201310260684.html&ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201310260684

アップルは新製品「Mac Pro」を米国内の工場で製造すると発表し、グーグルも傘下のMotorola製スマートホンを「米国でつくられた初めてのスマホ」として訴求している。さらにIBMから「ThinkPad」ブランドを引き継いだ中国レノボは東部ノースカロライナ州にPCの新工場を作ったとのこと。

そこにあるのは「米国製」を求める消費者の要望で、さらにその背景は「愛国心」の存在がある。そして、もう一つの要因がアメリカの労働コストの低下である。ある分析によると中国の労働コストが高騰により数年後には米国内(南部)の労働コストと並ぶらしい。

生産コストの均衡化が進むに連れ、多少であれば高い生産コストを払っても強いアメリカを求める米国民の気持ちがマーケティングの対象となる大きなクラスターを形成していることになる。つまり、「アメリカ」という国がブランドとなり、それに対するロイヤリティが製品のマーケティングに寄与する構造になっている。

新聞記事によると上記のようにいったん海外に移した生産拠点を国内に戻す「リショアリング」(再上陸)という。

では、日本の場合は「リショアリング」は起きるのか。

「メイドイン・ジャパン」「日本製」は海外においても日本国内においても価値を持っていた。その背景にあるのは「品質に対する保証」であり、「愛国心」ではない。

「愛国心」と「品質保証」のそれぞれに対するロイヤリティの違いは何だろうか。

「愛国心」は絶対価値を求めており、「米国製」以外では価値形成ができない。これに対いて「品質保証」は相対価値を求めているので、「日本製」でなくとも同等以上の品質を保証するケースがあればそれで価値形成が行われる。

とすれば、日本において「リショアリング」が起きるか否かは海外生産拠点における品質精度の向上と労働コストのバランスに依存してくる。

人件費比較グラフ

(出典:「アジア各国の賃金比較(2013年1月)」 – 三菱東京UFJ銀行

日本の製造業の生産拠点となるアジア各国の賃金を見ると上のグラフのように中国沿岸部の各地に比べても日本(横浜)の労働コストは7倍から10倍とかなり高い。

品質精度は賃金のような尺度だけでは測れず、産業ごとにも異なるある閾値を超えているかどうかを指標とすることが多くなり、一概に比較することはできない。そのため、品質精度/労働コストのパフォーマンスは、産業別、職種別、などに比較する必要が出てくる。しかしながら、現状では上記のような労働コストの格差は大きく、いくら相対価値を求められるとはいっても極端に製品品質に違いがない限り、日本では「リショアリング」はまだまだ起きづらいと考えらえる。

(追記)

日本においては「愛国心」はややネガティブな響きを持っている。その視点からすると日本では「愛国心マーケティング」は難しい。

 

家族が変わっている!

博報堂生活総研が「日本の家族25年変化」調査レポートを9月末に出している。このレポートは1988年から始まった同一質問の時系列調査で1998年、2008年、2013年に行われてきた。これまでは10年間隔で実施されてきたものだが、東日本震災の体験を経て今回は5年目の2013年に実施されている。

調査概要は以下のとおり。
調査概要2

生活総研では、分析結果として以下の大きな3つの変化をとらえている。

1,親子は、「時間、お金、意識」の重心をより「子供」に置く関係へ
2,夫婦は、フラット化し、お互いの役割がクロスオーバーした関係へ
3,
親族とは、「親」「兄弟・姉妹」まで家族とみなし助けを得る「拡家族」関係へ

さらに結論として、現在の家族像は

「子供信託家族」

としている。

言葉を換えれば、「子供依存家族」「将来期待家族」という意味合いでもある。

「子供」とは「将来」のメタファーなので、親が子供に重心を置くということは将来への期待と将来への不安を表していることになる。

では、実際にこの25年間で「家族」はどのような変化をしているのだろう。具体的には以下のような数字の変化がみられる。

前後左右の四軒の家庭の中で三軒は、「子供中心の家族」だ。
しかも、すごい勢いで変化している。

家族関係の中心

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夫婦間のパワーバランスはフラット化へシフトしている。

夫婦の発言権

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

発言権だけでなく家事の分担も夫妻の差は小さくなり、フラット化している。

夫の家事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明らかに震災以降、親との同居希望が増加しているのは、リスク管理意識が働いているからか?

親との同居移行

 

このようなデータを見ていると、家族は「子供」を中心に絆を強めており、さらにそのネットワークを確固たるものにするかのように家族の軸を「夫」だけにおかずに「妻」も分担して担う方向にシフトしている。そして、危機管理として親までも巻き込んだ態勢を構築しようとしている。

つまり、将来に対して感じているのは、「希望」ではなく「リスク」である。その背景にあるのはやはり「不確実性」への備えであり、「自己(家族)保存本能」といえよう。

このような変化はその時その時の時代性を反映していると考えられるが、実は出生時期の違いの影響を受けているのかもしれない。前者を時代効果、後者をコーホート効果という。

データ分析の視点からすると、このような時系列データを分析する際には次の3つの視点で行うことがある。

  • 時代の変化によるもの … 時代効果
  • 年齢の変化によるもの … 加齢効果
  • 出生年代の違いによるもの … コーホート効果

 本来は、年令別に集計・分析した結果を時系列で並べることで上記の分析が可能になる。

今回の家族調査の結果は「時代効果」か「コーホート効果」かは不明だが、機会があればそのような分析・アプローチもしてみたい。(まあ、多分時代効果だと思うけど)

データ出典

「日本の家族25年変化」調査レポート

http://seikatsusoken.jp/report/7790/

 

通販利用者の情報源

通販(EC)業界が今熱くなっている

 「ヤフーは間違っていた」と孫社長 EC出店料の無料化という「革命」に打って出る狙いは
LINEが今秋にもネット通販に参入へ
通販市場(EC市場の拡大)

経産省によると、日本のBtoC-EC市場規模(2012年)は9.5兆円となった。(前年比12.5%増)

EC市場規模推移

上記資料は経済産業省「平成24年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」より抜粋・転載。

全体では12.5%の伸び率だが、産業別にみると特に高いのが、医薬化粧品小売業(前年比34.6%増)、衣料・アクセサリー小売業(同28.6%増)、食料品小売業(同22%増)などだ。

リアル販売では売場での商品決定・購入決定率が高く70%前後あるのに対して、 リアル販売に対して通販の特性として通販ではかなりの比率の人が事前に情報収集をして購入するサイトに来訪していると思われる。

 ネット通販ではどのような情報収集が行われているのだろうか。

今月、日本通信販売協会「ネット通販に関する消費者実態調査2013」の結果を公表した。調査の概要は以下のとおり。

対象者 : 過去1年以内にネット通販を利用した15歳~69歳の男女、計1,000名
調査時期: 2013年8月30日~9月3日
調査方法: インターネット調査

ネット通販で利用したデバイスをみると、30代以下の層では「スマホ」が30%を超える高い比率となってきた。昨今のスマホ所有率の変化をみると今後もスマホによるネット通販は増加していくと思われる。

このようにモバイル利用が増えている中でネット通販利用時に影響を受けるSNSの存在について聴いた質問があった。

それによると、20.8%の人が「影響を受けるSNSがある」と答えており、その比率は男女とも若い層が高い。

ネット通販SNSの有無

特に「女性10代」ではほぼ半数がSNSの情報を参考にしており、「女性20代」、「男性10代」では3割以上の人がSNSを参考にしているようだ。

若い人を中心にSNSを参考情報としてネット通販をしていることがわかったが、10代と20代ではそのSNSが異なる。10代ではTwitterの情報を参考にしており、20代ではFacebookを参考にする人が多い。また、この2つのSNSに対してやや劣るとはいえ、LINEもそれなりの存在感を持っている。

影響を受けるSNS

 

ということでSNS情報を参考にネット通販をしている人がかなりの比率で存在している。

しかし、以下の調査結果が示すように

最も参考にしているのは「通販サイト内の購入者」「通販サイト外の購入者」だ。

結局その商品を買った買っていないのかわからないステマや評論家の話しではなく、実際にその商品を買って使った人の情報でないと参考にしないという人が多い。

「通販サイト内の購入者」とは事業者が掲出している「お客様の声」であり、EC内にある「ユーザ・レビュー」などだろう。また、「通販サイト外の購入者」とは「レビューサイト(@コスメなど)」の書き込みを指しているのだろう。

この辺りのデータをみるとリアル販売と同じように最終意思決定場面での情報ニーズは高い事がわかる。

参考にする情報

通販利用者が情報の発信元に求めているのは、プロモーションでない、リアリティのある情報である。通販利用者はややもするとプロモーションに踊らされる可能性があることを危惧している。

商品そのものの評価を得たいニーズもさることながら、踊らされずに商品を選べることが第一義のニーズになっている。
そこへの対策が実は通販サイトでは重要な要素と言えるようだ。

マーケターも歩けば3つの間違い

 そんな奴いないようで、結構多いような気がする・・・・

1,エンドユーザが決定すべきことを横取りされている

● 例えば、商品を企画開発している時に
・・・・・商品のネーミングを複数案出し、社内で関係者による人気投票で決める
・・・・・
カラーバリエーションを商品とは直接関係のない社内デザイナーの意見を聞いて決める
● 例えば、ある商品のプロモーションを企画している時
・・・・・どの「キャッチフレーズ」が心に刺ささり購買意欲を高めるのかを、社内でターゲット同年令の女性社員に聞いて決めている
・・・・・
どのクリエイティブがふさわしいか、制作サイドから出てきた3案の中から宣伝部長が決める● Web販売において、キャンペーンを企画する際
・・・・・キャンペーンのランディングページ(LP)のデザインを1種類しか作らない

このようなマーケターは「商品を購入する人、お金を出す人は誰ですか?」と聞かれたらなんと答えるのか。
社内の女性が商品を買う人なのか?
デザイナーが商品を買う人なのか?
部長が選んだクリエイティブが良いという保証はどこにあるのか?

消費者が理解できない機能や比較すべき商品が殆ど無い商品の価格設定についてなら消費者の意見はあまり役に立たない。しかし、それ以外の多くのコミュニケーションに関することは適切な方法で集約したエンドユーザの意見に委ねるべきだ。マーケターやデザイナーは、ターゲットであるエンドユーザが選び、購入する商品やキャンペーンを提供することを目指さなければならない。

だから、最終案はエンドユーザによるチョイスを優先して決定するフローが必要だ。(もちろん、ユーザが望んでも企業として表現できないことや他の商品との関わりで選択できないものは予め除いておくことは言うまでもない。)

 2,ペルソナを作らない

マーケターは商品のターゲット(想定する購入者像・利用者像)やプロモーションのターゲット(メッセージの届け先)を企画時に定義しているはずだ。

例えば、洗剤の場合ならターゲットの定義は「三〇代の専業主婦、末子が幼稚園児」、通園用の自転車なら「幼稚園児を持つ25歳~40歳くらいまでで毎日の通園(送り迎え)に自転車を使っているが、既存の自転車のデザインに満足していない母親」など、様々なターゲットの定義があるはずだ。

企画初期のラフなマーケティング・ターゲット設定ならこれでも良い。

しかし、ターゲットのニーズ・志向をベースに実際に製品デザインやプロモーションの表現を検討するクリエーターへ伝えるにはこれだけの情報では少ない。「三〇代の専業主婦、末子が幼稚園児」と言われて想像する人物像が人それぞれに異なり、最終的にはバラバラになってしまうことが懸念される。また、クリエーターたちはデモグラフィック属性だけでなく、その人の生活背景をイメージしながらアイディアを練るはずだ。
故にマーケターは様々な調査データを元に「ペルソナ」を描く必要がある。その際に重要になるのは、定量的なデータだけではなく、ターゲットの「人となり」を思い浮かべさせる発言やキーワードである。例えば、ハイティーン向け化粧品のキーワードは「透明感」でもなく、「肌がきれい」でもなく、「ビビットな赤」でもなく、「あなたが変身」だったりする。

しかし、リサーチデータだけをどんなにたくさん並べてもそれらをつなげるストーリー(物語)がないとターゲット像は生き生きとしてこない。そのポイントは「世の中化からワタクシごと化へ」だ。つまり、「こんな特性の人が世の中にどれだけいる」といった統計情報ではなく、「名前があり、顔があり、生活が見えるペルソナ像」だ。

「顔のある犠牲者効果」という社会学用語がある。災害の犠牲者について第三者に伝える時に「100人の方がお亡くなりになりました」という報道と「△△在住の田中○○さん(職業:教師、XX歳)がお亡くなりになりました」(写真付き)では本当の悲しみは前者の方が大きいのに、後者の方が報道を読んだ人の心に残る。

つまり、100人の死亡は統計データとしての意味を持ち、顔のある犠牲者は心に残るワタクシごと化された情報となる。

3,実験をしないこと

製品は一度形を決めて発売したらその仕様を変更するのは大変だ。だから、試作品を作っては評価を取り、改善しては評価を取りということを納得がいくまで繰り返している(はずだ)。いわば、テストや実験を繰り返して、最善の形を求めている。

コミュニケーションの分野でも、数々のコピー案、デザイン案、パッケージ案、ポスター案などが日々クリエーターたちから生産されている。それぞれのクリエーションが果たすべき目的を達成しているかどうかはどのように判断しているのだろうか。

それらはエンドユーザの評価を得て世の中に出ているのだろうか。

最初のパラグラフで言っていることと重なる部分もあるが、リサーチという形で評価をとることも重要だろう。しかし、最終的には競合商品のある実際の市場に載せてみて成果を生み出すクリエイティブかどうかの判断を市場(=エンドユーザ)に仰ぐ必要がある。そういうPDCAサイクルが必要だ。

実際に商品として市場に出して売れるか売れないかを問われるのが最終的な商品の舞台であるとすれば、それまでに練習を繰り返し、ゲネプロを経て、本番に挑むのが普通だと思う。新商品にしても新企画のプロモーションにしても新しいものへの挑戦で、そこには未知のリスクが必ずある。
そのリスクを回避しよりよい結果を得るためのコストは、失敗するコストよりもはるかに小さいものであることは誰でも知っている。ただ、そのことを軽視しているだけだ。

3つの間違いをしていないか、自分でも考えてみたい。

 

「水草水槽」は生きているインテリア

本日の日経新聞朝刊文化面に「水草水槽『見立て』の魅力」という記事が掲載されている。これまでにもいろいろな新聞や雑誌で「水草水槽」が紹介されたことはあるが、日経新聞で読んだのは初めてだ。「水草水槽」の世界が少し広がり始めているのかもしれない。

記事にも「水草水槽をご存知だろうか」というフレーズがあるように「水草水槽」とはまだまだマイナーな存在だ。簡単にいえば「熱帯魚」を鑑賞する「熱帯魚水槽」に対して、「水草」の育成・鑑賞を主たる目的としたものが「水草水槽」だ。あるいは、「箱庭」が地表の「庭」をコンパクトな箱の中に再現したものであるならば、「水草水槽」は「箱庭」の水中版である。私も、とあるきっかけで25年ほど前に「水草水槽」の世界を知り、入り込んでいった。それ以来、我家のリビングには大小の違いはあれ、常に「水草水槽」が存在して来た。

「水草水槽」の起源は?

私の知る「水草水槽」の起源は「ダッチ・アクアリウム(Dutch Aquarium)」と呼ばれる「オランダ式水槽」にある。オランダは花の育成や花壇を中心とした造園が盛んでそのような自然を生活に取り込む風土があるが、冬場は寒さのためにその楽しみが削がれるために冬場でも室内で楽しめる「水草水槽」が普及したらしい。そういった起源のため「ダッチアクアリム」のコンセプトは「水中花壇」と言っても良い。数種類の水草をそれぞれまとめて寄植えすることで花壇のように「全体風景」で見せる空間を作り出している。

以下の写真は典型的なダッチアクアリウムの水景。
ダッチアクアリウム

 

 

 

ダッチアクアリウム2

ダッチアクアリウム3

写真は「水草水槽の楽しみ方」(緑書房)より転載しました。(ありがとうございます)

生態系としての「水草水槽」

さて、写真のような「水草水槽」は大変美しいのだが、水草自体も生物であり、水槽の中で育成・成長していないとこのような水景は見ることができない。つまり、そこに生態系がなければならない。そのための条件として、水、底床、照明(光)と二酸化炭素、そして肥料が必要になる。(それぞれについて簡単に条件をあげると、水は水道水を入れるが別途外部ろ過装置をつけて循環濾過で維持・管理する。底床については以前は大磯砂だったが、現在は肥料分を含んだものが主流のようだ。照明は蛍光灯を多めに付ける。(例えば、最もポピュラーな60cm水槽で20W蛍光灯4本)、二酸化炭素は業務用(ビール用)ボンベから直接添加(毎秒数滴)、肥料は底床用肥料と水中肥料が必要となる。)

このような生態系を生み出すことで、水草が順調に成長し、美しい姿を見ることができる。まさに生きているインテリアと呼ばれる所以である。

下の写真は恥ずかしながら我が家のメインタンクで900Wのもの。(1ヶ月ほど前にリセットして再スタートさせたもの。)成長の早い水草を中心にまずは「水」を作る時期のもので、これから少しずつ水景を作り上げていく段階。早く上の写真のように密植レイアウトを完成させたい。

2013-09-28 20.27.49

 

 「水草水槽」の魅力

リビングの中に隔離された全く違う別の空間がある。そこには絵画的な鑑賞ができる楽しみがあり、その絵は生きているので日々姿を変える。そこには、鑑賞者としての喜びがある。

また、それとは別に環境を適切に管理し水草が順調に成長させることができた、育成者としての喜びがある。一方では育成技術の革新が行われ、育成できる水草の種類が増えていくことで新しい水景への挑戦ができることもある。

この25年の間に「水草水槽」は静かにブームを迎えたり、廃れたりしている。しかし、その市場が大きくなっているとは思えない。

マイナーな趣味で手間もコストもかかるが、何故か我が家でも25年間に渡り続いてきた。(手抜きでほとんどメンテナンスしない時期もあったが)

今後も「水草水槽」は大きなブームを迎えることはないだろうが、たくさんの家庭の中に静かな「生きるインテリア」として浸透していってほしい。

ピンクのクラウン、ピンクのトヨタ

ピンクのクラウンが発売され、1か月で650台受注したとのこと。

 トヨタ:ピンクのクラウン650台受注 若い顧客多く (出典;毎日新聞 2013年10月02日 22時22分)

 トヨタ自動車は2日、高級セダン「クラウン」の外装をピンク色にした特別仕様車「リボーン ピンク」の受注が約650台だったと発表した。9月1日から30日まで注文を受け付けていた。通常のクラウンと比べ若い顧客が多かった。

個人名義の顧客のうち30代までが18%、40代は24%を占めた。通常モデルはそれぞれ6%、14%。60代以上は24%で通常モデル(54%)の半分以下だった。トヨタは「多くの注文をいただいた。新規のお客さまも多かった」としている。

個人名義の顧客が占める割合は52%。法人名義は48%だった。通常モデルより法人名義の割合が10%多かった。(共同)

 

 

以前のエントリーでピンクのクラウンについて触れた。
ピンクのタイヤを履いたピンクのクラウンを見たことがありますか?

そもそもクラウンとはどういうポジショニングにある車なのか?

1955年にクラウンは誕生した。(価格は101万4860円で、当時の国民の年間平均所得の約12.5倍。)
7代目クラウン、1983年発売では「いつかはクラウン」とのキャッチフレーズで誰もが乗りたくなる憧れを標榜。
その後モデルチェンジを重ね、2012年12月にフルモデルチェンジで発売された「CROWN ReBorn」で14代目となる。
いつの時代にもトヨタの最上級車種としてトヨタブランドの最上位に位置していた。

販売台数でみるとクラウン(モデルチェンジ以前)は月販2,000台前後、ランキング25位~30位の間のフラッグシップ・ブランドとしては少し物足りない数字となっていた。2012年12月25日にフルモデルチェンジで発売となった「CROWN ReBorn」は発売直後は月販10,000台を超える月もあり、常にベスト10に入っている。まさに再生(reborn)した勢いだ。ということで、

クラウンは現在もトヨタの顔のブランドといえる。

クラウングラフ

クラウンの課題

半世紀にわたる長寿ブランドの宿命であるユーザーの高齢化、ユーザのすそ野が広がることでブランドのエッジが効かなくなること、自動車全体のコモディティ化によるエンドユーザが求める価値の変化などがある。これらの課題はクラウンだけでなく、トヨタ全体についても共通だ。

ピンクのクラウンの効果

記事によると購入者属性は以下のように変化している。
●個人客比率が減少、法人客比率が高まる → 法人でピンクを買うのはどんな企業だろう(歌舞伎町系?ヒルズ系?個人事業主?・・・)
●個人客の年齢構成が若年へシフト → 若い人の購入単価を上げることができた
●新規客が多かった → 新しい客層を開拓できた

クラウン購入客属性の変化(ピンククラウンvs通常クラウン)

クラウン表

 

 

 

 

 

ピンクのクラウン 650台は多いのか

ReBornクラウンはモデルチェンジ後、5-8月で月販6,000台前後を売ってきている。その中で、9月はピンクが650台分上乗せ(?)になったとすると、10台に1台はピンクのクラウンだ。この数値は希少価値としての存在感を示すレベルだろうが、インパクトのある販売規模といえる。

ピンクのクラウンはだれが運転するのか

現在のクラウンの運転者は100%男性に近い。ピンクのクラウンは誰が乗るのか?ピンクのクラウンを女性が運転するのでは当たり前すぎ。勝手な想定だが、男性が8割、女性が2割程度になるのがちょうどよいのではないか。

ピンクはトヨタのカラーになるのか

ピンクはクラウンだけだろうか?
プリウスは?カローラは?ビッツは?マークXは?・・・

各ブランドにピンクのカラーを入れたらどうなるか?

ピンクがトヨタのアイデンティティカラーになる。これには他社は追随できない。

「トヨタ」という企業がブランドとしての「トヨタ」を変えたければ、

全車種「ピンク」限定車の導入はありではないか

 

駅の怖い話

ホームは危険!

電車のホームに立って待っていると急行電車がすごいスピードで風を巻き込みながら走り抜けていく。都心よりも郊外のベッドタウン駅ではよく見られる光景だ。これははっきり言って「怖い!」。電車と人の距離は最短数10センチメートルと極めて近く、時速100キロで車が走る高速道路を歩行者が歩いているのとなんら変わりない危険地帯である。

「危険ですから白線の内側を歩いてください」

何という言い草か!危険を作り出しているのは鉄道側ではないか!このような鉄道側の論理がまかり通るのは鉄道が非競争型で保護されている事業であり、事業者に驕りがあり、安全よりも採算性を求めているからではないか?

はっきり言って、鉄道ではこれが一番不満!何とかして欲しい!!

ホームドア設置状況

危険対策としてホームドアの設置が進められている。(本来のホームドア設置目的は駅の無人化、車両の無人化だったが)
ホームドアの設置状況を見ると全国9,500駅のうち、ホームドア設置駅は564駅に過ぎない。(国土交通省)
残り9,000弱の駅はまだ「怖い」ままだ。
ホームドア設置件数推移

ホームドアの設置がなかなか進行しないのは、費用が一駅数億から十数億円かかる上に、次にあげるようなホームドアがつけられない原因がある。
・「ドア数・車両長の違う車両が混在している」
・「乗客分離」(乗客を捌くため列車によって停止位置が異なる)
・「ホームが狭すぎる」

といろいろ理由があがっているが、実はこれも鉄道側の論理。鉄道の採算を安全より重要に考えているのではないか。

画期的ホームドア

東急田園都市線「つきみ野駅」に新しいタイプのホームドアを設置する実験が行われている。現時点ではまだ設置段階で、運用はもう少し先のようだ。形状はホームドアというより、柵という感じ。この柵が上下に動くシンプルな構造になっている。設置コストはかなり安いそうだ。

     これは、ちょっと画期的かな!

ドアが下りた状態(待機時/急行通過時)
2013-09-29 10.56.32

乗降時
2013-09-27 08.01.45

つきみ野駅のホームドアは上記の設置不可要因をほぼクリアしている。
最終的には実証実験成果を待たねばならないが、これならば安全性はある程度のレベルまで確保されるのではないか。
あとは設置コストをどうするか?

「駅」をマーケティングしよう

ホームドアがもたらすベネフィットは「ホームを安全に」だ。

ホームにいる人の他のニーズは何だろう。

「安心できるホーム」・・・例えば、不審物がない、不審者がいない、酔っ払いがいない、夜でも怖くない、など
「ホームを快適に」・・・風雨を防ぎ、寒さと暑さ対策をする、BGMが心地よい、花壇などがある、など
「待ち時間を有効に」・・・本が読める、運動ができる、WiFiが通じている、など

が考えられるが、これらだけではホームドア設置の費用は出ない。ホームドアの設置コストを少しでも軽くするための提案が必要だ。

ホームのメディア化・駅のメディア化、そしてブランド化

ホームだけを考えると無理があるので、駅全体について多少なりとも収益を上げることができる方策を考える。すべての駅では無理だが、駅全体を企業の広告PRスペースとしてメディア化することで収益化を図ることだ。

1.駅のネーミングライツ販売
2.オリジナルサウンドロゴ展開
3.
ショウルームスペースを開設・企業PR、サンプリング展開など
4.売店での商品販売
5.最終的には、駅を企業テーマパークに!!

乗降客数や駅の規模にもよるが、駅を通過点として捉えずに、「集客する」場所として捉えることで次の風景が見えるのではないか。

まったくの私見で少し飛躍しているし試算もしていないが、時代の流れはそっちに向いているように思う。

どうだろう?