月別アーカイブ: 2014年1月

マーケティングの第一歩は「顧客」を知ることですよね

さて、年が明けてこのブログも少し趣を変えて、より「マーケティング」にフォーカスしたテーマで書いていきたいと思う。

ということで、本年最初のテーマは「マーケティング1.0」と「マーケティング2.0」の違いだ。コトラー先生が「マーケティング3.0」を上梓してからもう随分と経つが「3.0」の前に「1.0と2.0」のことを少し考えてみようと思う。

メーカーのマーケティングを支援する業務をしていると、
「今度こんな商品を作ったんだけど、どうやって売ろうか・・・」
「この商品が売れなくて困っているんだけど何かいい手はないかな・・・」
「競合メーカーがXXXXという商品を出してきたけどどんな影響があるかな・・・・」
のような話をよく聞く。

メーカーの人なのでやはり話の中心は「商品」になる。自ずと「商品を売る」話をしている。 そして、商品を売る時に「課題」を感じている。その解決をメーカーの中の人はメーカー視点で探している。それが「商品」起点で解決するならばよいが、選択肢が豊富にある時代では「商品」がソリューションになってもそのメーカーの「当該商品」が売れるとは限らない。すると、「商品」を起点に話を組み立てても解決というゴールに近づけるかはわからない。

「売れない」のではなく、「買わない」という顧客視点でアプローチするべきなのに。つまりは、現実はまだ「マーケティング1.0」から「マーケティング2.0」の話だ。

「マーケティング1.0」は製品を中心においたマーケティングで、「マーケティング2.0」は消費者を中心においたマーケティングのフレームワークだ。同様に前者の目的は「製品の販売」であり、後者の目的は「顧客の満足」である。(下表参照:出典「マーケティング3.0」)

マーケティング30

もちろん、「1.0」が無くなって「2.0」の時代になったわけではない。だから、「1.0」のアプローチが不要かといえばそうではない。例えば、工作機械のような生産財に近い分野ではまだまだ「1.0」が中心だといえるだろう。しかし、多くの消費財はすでに少なくとも「2.0」の考え方でまずとらえるべきだろう。その意味で「2.0」は「1.0」を包括する概念といえる。

「いつも顧客中心で考えているよ。何を根拠にそんなこと言うの。」

といわれるかも知れないが、「顧客満足」が大切だ言っていてもそれを計測していない企業が多いのではないか。「1.0」の企業は「売上」を目標とし、それを管理する。では、「2.0」の企業は「顧客満足」を目標として、それを管理するべきであり、「顧客満足」と「売上」の双方の指標として有効性が高い「リピート購入率」を事業指標として取り込んでいない企業が実は多い。

だから、まだまだ「1.0」の時代のスモークがかかっているように感じるのは私だけではないと思っている。

(指標の話はまた別の機会に回すとして)
「1.0」の人と「2.0」の人はどう違うのかを比較してみると

マーケター2.0は「商品を売る」話はしない。「商品を買う」話をする。
マーケター2.0は「誰が買うのか」「なぜ買うのか」という話をする。
マーケター2.0は「それを買うとどうなるのか」という話をする。

マーケター1.0はそれを「どこ」で売ろうかをまず考える。
マーケター1.0はそれを「いくら」で売ろうかと考える。
マーケター1.0はそれを「どう仕立てて」プロモーションしようかと考える。

マーケター2.0はそれを見て「誰に」売るのかをまず考える。
マーケター2.0は「誰」はどんな人かを考える。
マーケター2.0は「誰」はどうなるとうれしいのかを考える。

さらにマーケター2.0は「誰」は普段どんな生活をしているのかを考える。
すると「どこ」で誰とコンタクトできるかが見えてくる。
するとその商品は「どんな手段」の代わりになる商品かが見えてくる。

つまり、マーケター2.0は徹底的に「顧客」を突き詰める。

方法はいろいろある。
「顧客」に会う。「顧客」と話す。「顧客」の家に行く。「顧客」の車に載せてもらう。「顧客」と旅をする。・・・・・
また、アンケート調査を行う。フォーカス・インタビューを行う。同行行動観察を行う。顧客の活動履歴を分析する。顧客の所有物を分析する。・・・

これにより、顧客像が見えてくる。顧客の生活シーンが見えてくる。顧客の希望が見えてくる。そして、顧客のペルソナを描けるようになる。

つまり、「顧客の見える化」だ。

このように「顧客」に実際に会って「顧客」の顔が見えて「顧客」の気持ちがわかる人が「2.0」の人だ。

「子供が多くてその商品をたくさん使うAさんは今まで使っていた商品より安かったから購入した。・・・・・」
「Bさんはその商品を使うと家族が気持ちいいというので購入した。・・・・・」
「ママ友も多いCさんは今使っている商品に不満はなかったが、友人が勧めてくれたのでとりあえず買ってみた。・・・・・」

上のような顧客表現をみると「2.0」の人かなと思ったりする。

次回は「顧客の見える化」のために欠かすことができない機能である「マーケティング・リサーチ」について書いていこうと思う。