「顧客の見える化」とは
「顧客を見える化」しようと言われる。「見える化」とはわかりやすい言葉だが実は具体的ではない。「顧客の見える化」と言われて、「顧客のペルソナを作る」と思う人もいるし、「顧客のデモグラフィック特性をまとめる」と思う人もいるし、「顧客のサンプルを集めて、実際に会って話をする」ことを考える人もいる。いずれも、間違いではなく、その時その時の「見える化」すべきものが違うからだ。
とはいっても、いろいろなシーンで「顧客の見える化」が求められているということは「顧客」は見えづらい厄介なものであることは間違いない。
本当の顧客とは何か
企業にとって「顧客」とは収益源である。お金を費やしてくれる人や企業である。つまり、企業にとっての価値を生み出すものといえる。
よって、「顧客」を測るメジャーは本質的にはどれだけ価値を生んでくれるのかでとらえるべきである。これがまさに「顧客生涯価値(Lifetime Value)」である。
「顧客生涯価値(Lifetime Value=LTV)」が指し示すものは、現在見えている「顧客」だけではなく、その後企業との関係が続く間の「顧客」を含めての「本当の顧客」である。
そこには時間軸としての奥行きとそれに伴う関係の幅が生まれてくる。
最初は1つの商品を購入した顧客が、次第に繰り返しその商品を購入するようになり、さらにその商品以外の商品を購入するようになる。このような成長過程も含めて「顧客」をとらえる必要がある。
上の図にあるように「見えている顧客」と「真の顧客」は異なる。「真の顧客」をとらえる際にLTVを少し分解してみてみよう。上図でいう(真の顧客-A)は(初回客)、(真の顧客-B)は(リピート客)、(真の顧客-C)は(複数商品リピート客)となる。
(初回客) LTV①=購入金額
(リピート客) LTV②=購入単価×購入回数
(複数商品リピート客)LTV③=Σ(商品単価×商品数×購入回数)
「見えない顧客」とは
さて、上図には入っていない「見えない顧客」が実はいる。それは、次の2つだ。
「見込み客」…商品やサービスは知っているが、まだ購入者ではないが一般市場から顕在化した顧客ともいえる人たち
「離脱客」…一時期、購入者ではあったが何らかの理由で購入を中止した顧客(その後他ブランドの顧客になっているのか、そのカテゴリ自体の利用を中止しているのかはわからないが)
以上の5種類の顧客について「見える化」をすることが「顧客の見える化」となる。つまり、この5種類の顧客について「LTV」を算出することが「見える化」の基本となる。
第一に「顧客数」「商品単価」「購入回数」「購入頻度」を明らかにする。そして、延長上にある「顧客離脱可能性」を含めた「顧客生涯価値」の推定値を算出することが見える化の1つのゴールとなる。
最後のその顧客それぞれの「獲得経路」「獲得コスト」と対比することで「利益」としての顧客価値を算定することで Next Action に向けた有益な情報となる。