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売場の法則

家から近いこともあって、スーパーマーケットやGMSの食品フロアには毎週末に行くことが多い。時々、自宅用の買物は家の人に任せて人物観察、行動観察をすることがある。店の入口で少し前にいる人を見つけてその人がどの売場で何を買うのかを想像する。一人で来ているのか、夫婦なのか、家族で来ているのか。また、朝食はパン派か、ご飯派か。晩酌をするのか、どうか。旦那さんの好みが献立に反映されるか、どうか。などなど。そして、勝手な想像が当たると自分の推論というか考えている法則性に少し自信が出てくる。

さて、今日は私個人の法則ではなく、スーパーや小売店の売場で昔から言われている「法則」や「黄金律」の中からいくつか紹介しよう。

「野菜売場の5大効果」

なぜ、スーパーマーケットの入口付近には必ず果物・野菜売り場があるのか?その理由は諸説入り乱れているが、概ね以下のようなことだ。私は勝手に「野菜売場の5大効果」と呼んでいる。

  1. 果物のような色鮮やかなものがお店に入ったときに目に入ると、人は気持ちが高揚し購買意欲を高める効果がある。つまり、買物モードへの「誘い(いざない)効果」がある。
  2. 果物・野菜のように発色のよい食材は店全体の鮮度感を高める「フレッシュ効果」がある。
  3. 生鮮三品の中でも最も季節感がある食材なので、売場に季節を演出することができ購買意欲を掻き立てる「季節感効果」がある。
  4. 生鮮三品の中で肉と魚は同時に食卓に上がることはないが、野菜は必ず食卓に上がる。つまり、だれもが購入する野菜・果物を一番先に置くことで、最初の商品をかごに入れるまでの時間をできるだけ短くし、実質的な購買動線を長くする。そして、購入金額の上昇を目論む「動線延長効果」がある。
  5. 肉や魚の単品価格は高く、しかも家族人数分が必要なことが多い。これらを先に購入すると既にたくさん買ってしまったという感覚を持ってしまい、その後の買物が消極的になる。そのため、単価の低い野菜を入り口付近に置いて「満腹防止効果」を狙っている。

「ドロシーレーンの法則」

スーパーマーケットの価格戦略として昔から注目されているものがある。米国の高級スーパーの経験則から導き出された「ドロシーレーンの法則」と呼ばれる戦略だ。

  1.  100品目中の18%の商品を安くしたら、85%の顧客が安いと感じる。
  2.  100品目中の30%の商品を安くしたら、95%の顧客が安いと感じる。
  3.  100品目中の48%を安くしたら、ほぼ100%の顧客が安いと感じる。

つまり、競合する店よりも安いと思わせるためには全ての商品価格を安くする必要はなく、わずか18%の商品を安くするだけで85%もの人が安いと評価してくれる。そのための値下げする商品の割合をコントロールして「心理的な安さ」を訴える売価設定方法が「ドロシーレーンの法則」だ。

具体的には、競合する店に対して1番人気の商品の価格を少し安い価格設定にする。あるいは、高価格商品はそのままにしておき、一番安い商品の価格を競合店より下げるようなことである。家電量販店やスーパーなどが取り入れており、競合する店の価格調査をすれば最小限の値引きで最大の効果を得られるわけだ。この「ドロシーレーンの法則」を実践しているので有名なのが「ヤオコー」(埼玉地盤のSM)だ。それ以外にも地元で「あそこは安い」といわれている店は殆どこの法則に従った価格戦略を展開しているはずだ。

「 ジャムの法則」

「選択肢が多すぎると逆に選べなくなる」という買物実験で検証された法則がある。コロンビア大学の教授が提唱した「ジャムの法則」は、スーパーマーケットで行われた現場実験でした。一般的には売場面積や陳列フェイス数が多い方がそのカテゴリの商品の売上は高くなる。つまり、

「商品のアイテム数を数多く取り扱った方が売上が上がる。」

という仮説があった。

この実験では、6種類のジャムを売場に並べた場合、24種類のジャムを売り場に並べた場合を比較した。結果は、24種類を並べたケースは6種類を並べたケースの約10%しか売れなかったそうだ。

 「売場の法則」

以前、流通系雑誌のWEBサイトに掲載されていた内容からの抜粋で、社内研修でも10年以上も使ってきたものがある。

1.「客動線を長くすると売場への立寄率と購入点数が増えて、その店の客単価がアップする」

「野菜売場の5大効果」のところでも書いたが、客動線長と売上は相関関係にある。30年くらい前にイトーヨーカドーの5店舗で買物調査をしたことがあるが、売場面積の多い店(大きい店)ほど客単価が高かったのを覚えている。これはまさに客動線長と客単価の関係を表していた。

2.「店内に入って早い時点で商品を買うと、客動線が長くなり、買物点数が増える」

これも野菜売場の話と同じ話だが、実はこれに相反するように、売場の最初の部分は見過ごされやすいという経験則もある。そのため、売場の最初に安売り商品、チラシ商品を置いて目を惹いたり、目につきやすい商品を陳列することで視認性の高い売り場を作って客動線を長くする工夫をしている。

3.「消費者の約80%は店に入ってから購入商品を決めている」

計画購買をする人は少なく、店内で購入商品を決めている。店内での販促活動、いわゆるISM(インストア・マーチャンダイジング)の重要性を訴える根拠となっている。
これと合わせて、リストを持って来店する「計画購買型」の顧客の方が、「非計画型」の消費者よりも単価が高くなることが検証されている。
また、家族や友人と来店する人の方が、一人で来るお客様より客単価が高くなることが知られている。

 当たり前といえばそうだが、このようなことを事前に頭の片隅に入れて買物に行くのが私の買物を楽しむ、売場を理解する方法である。

サラダを食べても健康にはなれない日本人

1.健康になるために野菜を摂っているのに、野菜の消費量は減っている

日本人の野菜の消費量はこの40年くらいの間に年間119㎏から91㎏へと大幅に減少している。野菜に比べて、「牛乳・乳製品」「肉類」はその消費が伸長している。

素材別食料消費量推移

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野菜の種類別に増減の状況をみると、
だいこん、はくさい,きゅうりが減少
トマト、ブロッコリーは増加、または横ばい

増加、横ばいの品目をみるといわゆる緑黄色野菜で「サラダ」用の野菜だ。

品目別野菜消費量推移

 

2.サラダは増えているがサラダだけでは健康になれない

しかし、サラダの消費は健康ブームを背景に増加している。
家計調査によるとH7(1995)の812円/年からH23(2011)には1,019円/年まで伸長。

サラダ購入金額推移

 

健康志向、健康になる目的のためにはサラダを食べることだけでは覚束ない。1日に必要な野菜の量は350gといわれているが、実際、サラダはその見た目のボリューム感に比べて実際の重量は少ないので、野菜から1日にとるべき栄養素を確保できていない。

3.アメリカでは野菜の消費が伸びている

1980年代はアメリカの野菜消費量(1人当たり)は日本人のそれに比べて20%も低かった。
それが2009年では逆転して、アメリカ人の消費量の方が20%くらい高くなっている。

日米の野菜消費の格差

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 4.アメリカではなぜ野菜の消費が伸びたのか?

1980年以降にアメリカでおこった野菜消費を増加させる動きは以下の通り。

1) 所得向上(アメリカでも日本でも低所得層ほど野菜を摂取していない)
) 野菜生産量の増加による価格低下(大規模農業による生産性向上)
) 野菜物流の改善(コールドチェーンの確立、鮮度維持技術の向上)とカット野菜の普及
4) 野菜消費促進運動(ファイブ・ア・デイ プログラム=1日5サーブ以上の野菜をとろう)

 アメリカは 野菜生産の拡大→野菜価格の低下→野菜流通の改善→野菜摂取機会の拡大と産業側の努力もさることながら、ファイブ・ア・デイ プログラムのような野菜を食べる目的と食べる行為を結び付けたプログラムが運動として1990年代から浸透してきて、野菜全体の消費を下支えしている。 

もちろん、日本にもファイブ・ア・デイ協会(http://www.5aday.net/)があり普及活動はしているようだが、まだまだ消費を高めるところまでは行っていないようだ。

日本における野菜の普及は欧米の食生活を真似た食の洋風化によって進んでいるかと思ったが、実は形だけの洋風化では目的に対して逆行することになっている。

健康になるというフィロソフィーがないとサラダをいくら食べても駄目だな。