月別アーカイブ: 2014年10月

顧客視点を本当に持っていますか?

今日の朝日新聞朝刊「波聞風問」で、先週のWorld Marketing Summit Japan 2014の話題に触れている。
タイトルは

「マーケティング後進国 日本企業、より顧客目線で」

である。

2014-10-05 13.31.29

その中で「マーケティングとは。日本では「市場調査」と置き換えられたり、多くの企業では広告・宣伝、販売促進などの業務を表したりする。」というくだりがある。「マーケティング」を市場調査とする企業はボケなすだが、「マーケティング」の定義自体はやはり企業によりさまざまである。

もちろん、時代により「マーケティング」を含む業務や求められるものは変化しているのだから「マーケティング」の定義も変わってしかるべきだ。製品の機能による優位性を構築していた時代から、製品の優劣では違いがなく時代にはより顧客の近くにいる企業・製品が選択されるようになっている。この記事の本題は見出しにある

「より顧客目線で」だ。

随分昔から「顧客主義」「顧客中心」などの言葉で言われてきたことだが、未だに「製品主義」「機能主義」「プロダクトアウト」の発想から抜け出せずにいたことが指摘されている。コミュニケーションの視点から言えば「機能訴求」と「ベネフィット訴求」の違いになる。

そして、一橋大学の上岡教授は

「経営陣から、そして、全社的に顧客ニーズを重く見る方向性を確認すべきだ」

と指摘している。

この朝日新聞の記事と共に注目したいのが、ネスレの高岡社長のインタビュー記事だ。

「経営とは、マネジメントではない。マーケティングである。」

ネスレ日本 代表取締役社長兼CEO 高岡 浩三氏

ネスレ高岡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「常にどうしたらお客様に価値を感じていただけるような提案ができるかを考えるのがマーケターの仕事です。」
「ネスレグループの執行役員は約30名ですが、そのほとんどがマーケター出身。これはネスレグループに限らず、グローバル企業では普通のことだと思います。一方、日本の企業ではマーケティング部門よりも営業や製造部門出身のトップが多くいらっしゃいます。」

どちらも「顧客視点」を持つことに難しさに触れると共にそこへのアプローチとしては経営レベルからマーケティングを理解している人材を揃える必要性に触れている。

人が変わらなければ、企業は変わらないということであり、モノづくりや営業中心から脱却することが企業としてのマーケティングを実践するためには必要だということだ。

モノを売る、モノを作るという視点から、一旦離れないと、メーカー企業のマーケティングは成り立たない時代になっている。

 

オンライン化する国勢調査は何を映すのか!?

「平成 27 年国勢調査実施本部」が10月1日に発足した。ニュースでも発表されているが、この国勢調査から調査方法が大きく変わる。総務庁発表の資料でも以下のように「ビッグチャレンジ」との表現を使っている。

 平成27年国勢調査における『ビッグチャレンジ』

  • 日本初の取組 : 全国津々浦々でオンライン調査を実施(オンライン調査の全国展開)
  • 世界最大規模の調査 : オンライン回答は約1000万世帯超を想定
  • 先進的な調査方式 : スマートフォン調査システムの導入・オンライン調査の先行実施

「世界最大規模の調査」という表現で、「世界最大」と言い切らないところがお役所らしいのですが、それでも1千万世帯をオンラインで調査とはスゴイ!日本全体で5千万世帯余りだから20%以上はオンラインで調査するというか、対象世帯がオンラインで回答してくれると目論んでいることになる。

~以下、「平成27年国勢調査の実施に向けて」(総務庁統計局)より引用~

国勢調査の流れ

オンライン調査、それも家庭への普及・利用率をみると、多分スマートフォンによる回答が多いと思われ、。まさに「スマホファースト」である。このあたりも含めて、役所とは思えない柔軟かつ先進的取り組みと評価したい。(確かにこの機会を逃すと次は5年後になり、そこでオンライン調査に取り組んでは時代遅れ感が大きく、評価されずに批判されるだけだろう。)

オンライン化は、調査予算の削減、工程の短縮化(データの電子化)など様々なメリットも生まれるだろう。また、答える方も調査員と会ったり、時間を調整したりなどの時間が短縮できる。(ちなみに平成22年の国勢調査には調査員70万人、予算600億円超が費やされた。)

実際の国勢調査の実施は平成27年10月1日からとなる。社会調査だけでなく、マーケティングリサーチ業界においてもエポックになることは必須だろう。

ところで第1回の国勢調査は100年以上前の1920 年(大正9年)に実施されている。前述の統計局の資料の中で第1回当時と現在を比較する資料が添付されていたので、いくつか抜粋して紹介したい。

~以下、「平成27年国勢調査の実施に向けて」総務庁統計局より引用~

第1回といま

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 人口は倍以上に増え、世帯数は4倍強になった。(世帯人員数が減ったということ)
  • 平均寿命も男女ともほぼ倍になっており、年齢別の人口構成も大きく変化している。
  •  さ産業構造をみると就業人口は1920年当時は第一次産業が半数以上、現在は第3次産業が7割以上となっている。
  • 製造品出荷額に至っては、60億円→289兆円余りと4万8千倍以上に増えている。

同じ日本とは思えない!!  全く違う国のようじゃないですか!!

100年も前なのか、100年しか経っていないのになのか、は見方次第ではあるが、100年間で日本がこんなに変わったと実感できるのも「国勢調査」があるおかげである。(表中データは国勢調査以外もあるが)

ということで、

国勢調査は「時代」を映している

という用意したような締めの言葉につなげて終わりたい。

 

 

 

 

成城石井とローソン

ローソンが成城石井を買収して子会社にするというニュースが流れている。2つのブランドの現状をみると少なくとも外側からはそれぞれが成長ベースにあり、それぞれの業界においてどちらも負け組ではないようだ。

業種の中でのポジションをみると、ローソンはCVS業界2番手でトップのセブンイレブンには大きく水をあけられており、肉薄するファミリーマートと2番手の地位を競っているように見える。その成長率をみるとセブンイレブンに比べてローソンの成長率は低い。

コンビニトップ3売上推移

次に、成城石井の指標をみると、レックスインターナショナル傘下時代にはいろいろあったようだが、食品スーパーとして小売デフレの時代に堅調に推移してきているといえそうだ。

2004年2月期の連結売上300億円(103%)、営業利益13億円(4.5%)

2013年12月期の連結売上544億円(105%)、営業利益は33億円(6.1%)

合併のシナジー

この2つのように類似業種の異なる業態のブランドが一緒になると、そのシナジーはあるのか、どんな工夫をするとシナジーが高まるのかという視点が必要になってくる。シナジーを考える時の1つの視点は、ローソンと成城石井のそれぞれの店舗を入れ替えたらどうなるかということだ。

ちなみに職場の近所に道路を1本挟んで成城石井とローソンがある。店舗の売場面積で見ると成城石井は100坪程度、ローソンは40坪程度と倍以上違う。当然、商品構成は異なるが、ローソンの40坪の中身を成城石井の商品で埋めてみることを想像しよう。

ローソンの変化形としては、高級コンビニになるのか、自家製高級惣菜・弁当のあるコンビニになるのか、輸入食品がたくさんあるコンビニになるのか、というような選択肢がある。立地条件によるだろうが、どれも既存のローソンに魅力を加えることができ、他のコンビニエンスストアにはない特徴を打ち出すことができる。

逆に成城石井の中にローソンを入れたケースを想像すると、パンなら自家製パン~大手メーカーのパンまで価格も含めて幅広い品ぞろえができ、飲料なら輸入品やNBだけでなく、ローソンのPB飲料までの幅広い品ぞろえになる。このような変化にはあまり食指が動かない。
また、ローソンのMachi Cafeが成城石井の中でも飲めるようになる(ローソンはこの施策の導入はしないと言っている)などの展開も想像できる。これは付加価値が付くような気がする。

それぞれを天秤に掛けてみると、成城石井にとってこの買収・合併はあまりメリットがなく、ローソンにとっては様々な業態の変化をもたらす可能性がある。(だから、ローソンが仕掛ける意味があるのだが。)

もちろん、シナジー効果というときは上記のMDの問題だけでなく、人材面、ノウハウ面、資金面などいろいろな視点はあるが、中身を入れ替えてみることで見えてくるものは実はユーザ、利用者視点では重要なことだと思う。