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上司に反論したから成功したチョコレート

先日、バレンタインデーに下のニュースが掲載されていた。

上司に反論「あなたの年代がターゲットではない!」 計画の2倍も売れたチョコ 開発の経緯を明治に聞く
withnews 2/14(火) 7:00配信

この記事で気になったポイントは以下の3点。

「実はこの商品、以前発売されたものを昨年9月に大幅リニューアルしたものなんです」と話すのは、菓子マーケティング部の佐藤政宏専任課長(44)。

(1)価格は一般的な板チョコの倍以上で売られています。

(2)他のチョコと比べて特徴的なのが、そのパッケージ。通常はチョコの写真や商品名、味の特徴などが大きく描かれていますが、この商品ではいずれも目立たない扱いになっています。

(3)商品化に向けて話を進める中で、上層部からも「このパッケージでは中身がわからない。売れるはずがない」という意見が出ました。
実際に売り場を再現して、他の商品と一緒に並べてターゲット層である女性がどう反応するかを調査したところ、結果は好評。調査で好感触を得ていた佐藤さんたちは「あなたの年代がターゲットではない」と反論。なんとか販売にこぎつけました。

(1)価格が板チョコの倍以上。しかも、大きな売り場面積を獲得

この「meiji THE Chocolate」は220円と通常の板チョコの倍以上の値付け。コンビニエンスストアに買いに行くと、味が6種類あって6種全部が店頭定番で平積陳列されている。
チョコレート市場自体が成長しており、小売りベースで5千億円を超えている(2015年)とはいえ、高単価のプレミアム系商品でコンビニの過当競争の棚で6フェイス確保はスゴイ。

(2)パッケージデザインの工夫

この商品のパッケージはチョコレートの写真・イラストはなく、シンプルなベージュのボックスタイプのパッケージ。
質感はやや違うが、段ボール箱ぽい素朴さを感じる素材で、所謂チョコレートらしさがない。内側も柄があり、食べ終わった後に再利用もできそう。

このチョコレートらしくないパッケージが若い女性にとっては、”かわいい”らしい。

 

(3)上層部の反対意見を消費者調査を根拠に論破

商品が売れるかどうかは、上司が判断するべきではなく、実際にお金を出して購入する消費者がどう行動するかで判断するべきであるという当たり前の話である。しかし、実は消費者の判断より社内の判断(上司の判断)が優先されている方がはるかに多いことは商品開発や広告に携わっている人はみな感じていると思う。

明治という歴史のある会社で、今回はデータオリエンテッドな意思決定ができたということだ。しかし、それがトピックになるということは、逆に言うとこれまでは上層部の一声(勘と経験と根性の3K)が勝っていたことを裏付けてもいる。

特にこの(3)については、マーケティングにおける上司の役割・上層部の役割は、正しい手法で課題にアプローチしているかどうかを指導・管理することであり、意思決定そのものを上層部に期待しているわけではない。上層部が判断することには、何らの論理的合理性がない。このことは費用をかけて消費者調査を実施するか否かという前に、企業としての成熟度やスタンスの問題と言わざるを得ない。

企業の意思決定を支援している立場から経験的に言えば、売上40億円から100億円以下の企業では非合理的な意思決定をしているケースが多くみられる。消費者調査にコストを掛けることが必須ではなく、商品の評価に対する企業の意思決定に消費者の声を入れることが重要だという認識がないのではないか。

その壁を乗り越えたところに、商品を市場に出して失敗する確率を減らし、成功率・ヒット率が上がって、トータル的にはコストメリットも出るという企業として当たり前に選択すべき世界があることが体験されていないことに理由があると思っている。