製造業の小売ダイレクトビジネスの方向性

製造業のマスマーケティング

そもそも製造者による直接対面販売から始まった小売ビジネスは製造業のマスプロダクション志向に伴い、流通の進化、店舗の大型化、セルフセレクション業態の発生、などの変化を伴って進化してきた。

そして、マスプロダクション志向の製造業のマーケティングはマスマーケティングのルールに沿って展開され、それは次のように記述することができる。

マスマーケティングのビジネスは、小売店に「商品」を並べることから始まる。管理指標は配荷率であり、店頭フェイスシェアである。マスマーケティング事業の目的は商品の「購入」で、その事業支援プロセスは商品の「選択」の向上だ。

 製造業のダイレクトマーケティング

製造業がダイレクト販売に参入する理由はどんなことだろうか。

収益性を視点として産業をとらえる時に「スマイルカーブ」という考え方がある。成熟した世の中では、産業の上流(開発、設計、部品製造)~中流(製品製造)~下流(マーケティング、販売)に分類した時に、それぞれの収益性の高さをグラフにして表すと「スマイルマーク」のように上流と下流の収益性が高くなり、中流の収益性は低くなるという考え方だ。主に電子製品製造プロセスなどにおいて言われてきたことだが、多くの商品分野においても当てはまりそうな考え方だ。

ビジネスの上流では、製造業は製品の部品製造や原料の生産地を傘下に収める動きは当たり前のように行われている。(製造業の海外進出や自社生産工場の設立、契約農園や自社農園の拡大など)これらはバリューチェーンの中でトータルの収益を目指している動きである。

ビジネスの下流へも製造業は進出している。直営店ビジネスであったり、BtoCのダイレクト販売事業への参入であったりする。これも大手流通業に価格決定権を握られた製造業が、収益性の改善を求めた動きなのだろう。

収益源としてのダイレクトビジネス

ダイレクト販売事業への参入の目的がバリューチェーン全体における収益性の確保・改善にあるならば、それに適したダイレクト販売の事業モデルを組み立てる必要がある。

そのチェックポイントは次の通りとなる。

  1. 商品の収益性(適切な利益構造の構築)

  2. 付加価値の提供方法(顧客が納得する価値)

  3. 顧客の獲得方法

  4. 顧客の育成・維持方法

以上のチェックポイントを中心に組み立てた事業モデルをテストマーケティングしてみることが必要だ。その過程でそれぞれの最適化を図ることになる。テストマーケティングのKGIは収益性(一定期間の利益率)で、初期のファシリティ投資、システム投資などは当初は除外して考える。

弊社はこのようなテストマーケティングの支援実績を重ねており、その中で個々の企業や製品、事業環境に合わせた運用を行ってきている。

成功するダイレクトビジネス

テストマーケティングから導かれる成功の法則は少ない。それぞれの事業環境の影響が大きいからだ。しかし、共通項としては製造業のマスマーケティングに対して、ダイレクトマーケティングの根幹は以下のように記述できる。

ダイレクトマーケティングのビジネスは、「顧客」を並べることから始まる。管理指標は「顧客獲得コスト」であり、「LTV」である。そして、ダイレクトマーケティング事業の目的は顧客の「満足」で、その事業支援プロセスは「信頼」の構築だ。

製造業がダイレクトビジネスに参入する際には視点の転換が必要だ。

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