今日の朝日新聞朝刊「波聞風問」で、先週のWorld Marketing Summit Japan 2014の話題に触れている。
タイトルは
「マーケティング後進国 日本企業、より顧客目線で」
である。
その中で「マーケティングとは。日本では「市場調査」と置き換えられたり、多くの企業では広告・宣伝、販売促進などの業務を表したりする。」というくだりがある。「マーケティング」を市場調査とする企業はボケなすだが、「マーケティング」の定義自体はやはり企業によりさまざまである。
もちろん、時代により「マーケティング」を含む業務や求められるものは変化しているのだから「マーケティング」の定義も変わってしかるべきだ。製品の機能による優位性を構築していた時代から、製品の優劣では違いがなく時代にはより顧客の近くにいる企業・製品が選択されるようになっている。この記事の本題は見出しにある
「より顧客目線で」だ。
随分昔から「顧客主義」「顧客中心」などの言葉で言われてきたことだが、未だに「製品主義」「機能主義」「プロダクトアウト」の発想から抜け出せずにいたことが指摘されている。コミュニケーションの視点から言えば「機能訴求」と「ベネフィット訴求」の違いになる。
そして、一橋大学の上岡教授は
「経営陣から、そして、全社的に顧客ニーズを重く見る方向性を確認すべきだ」
と指摘している。
この朝日新聞の記事と共に注目したいのが、ネスレの高岡社長のインタビュー記事だ。
「経営とは、マネジメントではない。マーケティングである。」
ネスレ日本 代表取締役社長兼CEO 高岡 浩三氏
「常にどうしたらお客様に価値を感じていただけるような提案ができるかを考えるのがマーケターの仕事です。」
「ネスレグループの執行役員は約30名ですが、そのほとんどがマーケター出身。これはネスレグループに限らず、グローバル企業では普通のことだと思います。一方、日本の企業ではマーケティング部門よりも営業や製造部門出身のトップが多くいらっしゃいます。」
どちらも「顧客視点」を持つことに難しさに触れると共にそこへのアプローチとしては経営レベルからマーケティングを理解している人材を揃える必要性に触れている。
人が変わらなければ、企業は変わらないということであり、モノづくりや営業中心から脱却することが企業としてのマーケティングを実践するためには必要だということだ。
モノを売る、モノを作るという視点から、一旦離れないと、メーカー企業のマーケティングは成り立たない時代になっている。