「あまちゃん」は現代版「8時だよ!全員集合」だ!

NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の人気がすごい。わが家でも毎日録画して夜や週末に鑑賞しているようだ。番組の最高視聴率は22.1%となっていてここ10年以内の番組では「梅ちゃん先生」(2012年放映)に次いで2番目の高さだ。

さて、その好調の理由だが、主役の能年玲奈さんの人気や宮藤官九郎さんの脚本が巧妙でテンポが良い、などいろいろな意見がTVやネットで展開されているようだ。その理由の中の1つに“キャスティング”の妙があげられている。主要な出演者の年令を 昭和40年生まれ を中心に集めたというのだ。

  •  小泉今日子(ヒロイン・アキちゃんの母・春子)=41年2月生まれ
  • 尾美としのり(アキちゃんの父で、春子の元夫)=40年12月生まれ
  • 杉本哲太(北三陸駅駅長で、春子の幼なじみ)=40年7月生まれ
  • 吹越満(北三陸市観光協会会長)=40年2月生まれ
  • 八木亜希子(アキちゃんの親友・ユイちゃんの母)=40年6月生まれ
  • 古田新太(芸能プロデューサー、通称「太巻」。かつて上京した春子の運命を左右したらしい)=40年12月生まれ
  • 薬師丸ひろ子(春子が憧れ、アキちゃんも憧れる女優・鈴鹿ひろ美。ひょんなことからアキちゃんが付き人となる)=39年6月生まれ
    出典;http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20130717/enn1307170724004-n1.htm

つまり、昭和40年を中心に前後5,6年の範囲で生まれた人たちをターゲティングしたと思われる。

ちなみに 「昭和40年男」 という雑誌がある。
昭和40年男表紙

 

 

 

 

 

 

昭和40年男 2013年 08月号 [雑誌]

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00DO9IB2I/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B00DO9IB2I&linkCode=as2&tag=s40otoko-22

この雑誌も昭和40年生まれの共通体験を時代観として共有している人をターゲットにしている。例えば、“あなたが好きだったのはどっち?” 企画もその一つだ。 当時の世代の男子ならみんな知っているボクシング漫画、「がんばれ元気」と「リングにかけろ」のどっちが好きか?野球漫画なら「プレイボール」と「ドカベン」のどっちが好きか?を較べる企画だ。いずれも漫画を読んでいた人なら知らないでは通れない人気漫画だった。

昭和40年男ボクシング 昭和40年男野球

昭和40年生まれの特徴

昭和40年(1965年)生まれの男性は今、日本に80万人ほどいるという。彼らの45年間の人生には、ほかの世代にない一つの特徴がある。

テレビが必需品として定着したのがちょうど昭和40年代。「ウルトラマン」や「仮面ライダー」、「8時だよ全員集合」など子どもたちの誰もが見るおばけ番組が多数放送されたのがこの時期だった。月曜の朝の学校で共通の話題は「全員集合」のカトちゃんや志村けんのギャグだった。そういう体験はほぼ全国の子どもたちに共通していた。全国規模でブームを体験した最初の世代がこの昭和40年男たちなのだ。
http://www.excite.co.jp/News/bit/E1277286324088.html

さて、「あまちゃん」のターゲットは「昭和40年生まれの男」とは違って女性の方が多いだろう。しかし、そこでも男性同様に時代を共有しているはずだ。そのキーワードが、アイドルとしての「小泉今日子」、女優としての「薬師丸ひろ子」であろう。これは役としての「天野春子」や「鈴鹿ひろ美」ではない。

まさにその時代に実在し輝いていた「小泉今日子」「薬師丸ひろ子」である。

この番組の人気要因は、ターゲットを明確にしていること、その共通体験を劇中で再現していること、の2点である。

そして、それを支えているのが脚本家宮藤官九郎の細かいこだわりであり、演出者とのコラボレーションなのであろう。

以下は推測ではあるが、本番組の視聴率は20%前後と高いものではない。しかし、昭和40年前後生まれの人だけに絞ったターゲット視聴率は実は相当高いのではないだろうか?

そして、昔の「全員集合」さながらに、翌日には「昨日のあまちゃん、見た?」から始まる会話が毎日のように交わされているはずだ。

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