マーケティングは、マスプロダクション&マスセールスを前提として発展してきた。その中でターゲット策定が最も大切なことであるとは何回か話してきた。では、ターゲット策定アプローチにより、どのような違いがでるのだろうか。そこには、次の3つのアプローチがある。
-
マス・マーケティング
標的市場全体に対して、一つのメッセージでアプローチしたり、統一したマーケティング施策を展開
-
セグメント・マーケティング
デモグラフィック基準や共通する選好やニーズ、価値観、購買行動などの基準で標的市場を分割し、それぞれの市場に対して異なる施策を展開
-
個客マーケティング(ダイレクト・マーケティング)
ダイレクト・マーケティング、ワン・トゥ・ワン・マーケティングとも言う。特定の固有名詞付きのお客様に買ってもらうためのマーケティングを展開
それを表したのが以下の図である。基本的に同じ方向から「販売」というゴールに向いているような図である。
単純にターゲットのサイズで並べると上記のようになるが、マス・マーケティングおよびセグメント・マーケティングと個客マーケティングはそのコンセプトがほぼ正反対と言えるくらい異なる。(下図参照)
ここでは、「マス・マーケティング」と「セグメント・マーケティング」は「販売」という最終目標に対して基本的に同じ方向を向いているが、「個客マーケティング(ダイレクト・マーケティング)」は全く逆の方向から「販売」にアプローチしている。この2つのダイレクション(方向性)を比較してみる。
マス・マーケティング 個客マーケティング
コンセプト 商品を売る 人が買う
KGI 売上の獲得 LTV(生涯顧客価値)の最大化
KPI マーケット・シェア マインド・シェア
KPI アクイジション リピート率
グルーピング 全体の分割 個体の集合
差別化 機能 ベネフィット
以上のような違いを端的に言えば、「個客」は「マス→セグメント」の延長にはいない。
「個客」の「個客」たる所以は、固有名詞が付いていることだ。
この2つの違いがわからない場合はきっと何かを誤解している。そして、誤解している人は思いのほか多い。一度、自己診断してほしい。