「お得感」を感じさせるには

「お得感」を感じた経験が誰にでもあるだろう。
例えば、、、、

1.いつも定価で買っていたソックスがたまたまバーゲンセールで安売りをしていた
2.ディズニーランドでいつもよりたくさんのアトラクションを体験できた
3.いつも電車で10駅先の店まで買いに行っていた輸入食材を地元の店で見つけた

これらは全てまあ偶然感じた「お得感」だが、次のように成果に結びついている。

1の人は、その時にソックスをまとめ買いした → 店からみると客単価が上がった
2の人は、ディズニーランドの満足感が上がった → 店からみるとリピート確率が高まった
3の人は、輸入食材を買うときは地元の店に行くようになった → 店からみると固定客が1名増えた

ということで、「お得感」は成果につながるアプローチツールといえるわけだ。と、捉えると「お得感」とは感じてもらうものではない。感じさせるものだ。だから、感じさせるための工夫が必要だ。

では、「お得感」とは何だろう?

「お得感」とは、購入したモノやサービスの「金銭的な価値」や「金銭に換算した価値」の比較で生まれることが通常だ。同じものなら安い方、同じ値段なら多い方が「お得感」がある。このような「お得感」は常に「価格」や「コストパフォーマンス」のスケールの上での比較になる。そのスケール上で競争するには常に「安いもの」や「イイもの」を提供するしかない。しかし、実は「安くてイイもの」を提供することは極めて難易度が高い。

では、どうするか。実は普段から皆さんも使っているアプローチ方法がいくつかある。

「お得感」を感じさせる別の機軸(スケール)を意識させることで「価格」がもつスケールをずらし、「ありのままで」購入につながる「お得感」を感じさせることができる。

そこで、「お得感」を生み出すアプローチをいくつかあげてみよう。

1.「心理的サイフ」で「お得感」は変わる

「心理的サイフ」は7つの心理的サイフがあり、どの財布からの出費と捉えるかで感じる「お得感」は異なるという考え方。
古典的なアプローチともいえるが、現代でも通用するものなので紹介しよう。

7つのサイフとは、「家族のサイフ」「将来のためのサイフ」「食事を楽しむサイフ」「ライフスタイルのサイフ」「自己投資のサイフ」「挑戦のためのサイフ」「人づきあいのサイフ」である。

それぞれの財布にはその使用目的やその出費で得たいモノやスタイルがある。

       財 布 の 種  類                         使  用  目  的                                      
家族のサイフ       理想的な家族の構築
将来のサイフ       将来に対する備え(家の備え・人の備え)
食事を楽しむサイフ    生活の質を向上させる
ライフスタイルのサイフ     自分なりのライフスタイルを創出する
自己投資のサイフ     人生を積極的に楽しむ
挑戦のサイフ       未知の分野に挑戦する
人づきあいのサイフ    ネットワークを拡げる

300万円の車を買うことを仮定してみよう。
この300万円を「家族のサイフ」からの出費とするのか、「ライフスタイルのサイフ」からの出費とするのかによって300万円に対する「お得感」が違ってくる。
4人家族で毎週末に家族でドライブに出かけることが家族のだれもが楽しみならば「家族のサイフ」からだす300万円は決して高くはなく「お得感」がある。しかし、「ライフスタイルのサイフ」から出費するのはライフスタイルを実現する父親には「お得感」があるかもしれないが、家族としては自分のためにだけ使ってという心理も働き、「お得感」がないということになる。

1本3,000円のシャンプーでも「家族用」なら高く感じる奥さんが、「自分がきれいになるため」なら「お得に感じる」かどうかは別にしても毎回毎回買っていくということも心理的サイフで説明ができる。

2.欲求の段階で「お得感」は変わる

マズローの自己実現欲求によるアプローチだ。これも超古典的かつ、マーケティングの定番メニューだろう。マズローは欲求には5段階の構造があり、下位の欲求が満たされると上位の欲求が発生するというもの。5段階の階層は次の通り。

1.生理的欲求
2.安全欲求
3.社会的欲求
4.尊厳・評価の欲求
5.自己実現の欲求

これを「靴」で例えると、
この靴で、もちろん外を歩くことができます。
この靴なら、雨が降っても滑らずに歩けます。
この靴なら、誰に見られても恥ずかしいことはありません。
この靴なら、一目置かれた方に見られますよ
この靴を履いて、あなたも一流紳士の仲間入りをしましょう。
となる。

2014-07-24 14.26.04

 

一般的には高い100,000円の靴でも「一流の紳士の仲間入りができ」「いろいろな人と知り合え」「なんとなくステップアップしたと感じる」ことができるなら、「お得感」がある買物といえる。(ビスポークする人は別ですよ)

これも心理的サイフと同じで、どの欲求に対応する商品と位置付けるか、その機軸を提示することで「お得感」は変わる。

 

低いレベルの欲求は商品の基本機能を求め、高いレベルの欲求はブランド価値やブランド・ヒストリーを求める。

 

値段が高くても「お得感」を感じさせるには、買う側の消費者がどのレベルの欲求を持っているのかをつかんで、その心理に合わせてチューニングした売り方の工夫(機軸の提案)が必要だ。

それをするのが販売の仕事であり、マーケターの仕事であろう。

 

VANITY SIZING (バニティ・サイジング)

先日、アパレル関連のニュースサイトapalog で
消費者を惑わす、VANITY SIZING問題
という記事を見つけた。

一時、ユニクロを展開するファーストリテイリングが買収するかとの観測記事も流れた「Jクルー」がVANITY SIZINGを採用して消費者が困惑しているという記事だ。記事中にあるように“VANITIY SIZINGというのは、販売を促進する為、意図的にラベルのサイズを小さく表示する事”で、数年前から米国の小売店の間でトレンドとなっているらしい。

つまり、VANITY SIZINGとはこういうことだ。

いつもLサイズを来ているキャサリンが気に入ったワンピースを試着している。お値段が張って普段なら手にも取らないところなのだが、今日はなぜか試着ルームまで入っていった。ところが、何故かお腹周りや袖ぐりが緩い。おかしいなと思ってサイズを確認してもいつもの「Lサイズ」のタグがついている。すると、店員が「少し緩そうですね。でしたら、同じ柄のMサイズを合わせてみましょうか。」とのたまう。「Mサイズ」を試着するとなんとピッタリ!キャサリンは「気に入ったワンピース」と「Mサイズが着られる」という2つの満足をちょっと高い数字の打たれたクレジットカードのジャーナルと共に持ち帰った。

「女性の消費心理の研究で、本来のサイズよりも小さい表示の洋服を試着し、フィットすると迷わず購入する傾向にあるのだそう。」(記事より)

なお、中野香織さんの『着るものがない!』によると、この傾向は高額品、個性の強いブランド品で強く表れるらしい。

さて、心理学的マーケティングともいえるVANITY SIZING。似たようなアプローチは他にもある。

 「からだ年令」(体組成計)や「はだ年令」(スキンケア化粧品)はどうだろうか。

実際の年令は変えることができない。しかし、「若くなりたい」「若く見られたい」という願望はある。そこで年令とは別に「疑似年令の概念」を作って、そのスケールを動かすことで購買意欲を高めている。これらもVANITY SIZINGの応用といえるだろう。

他にも「ブラジャーのサイズ」や「男性のスラックスの胴囲」などもVANITY SIZINGが応用されている。

バストは大きい方が好まれる傾向があるので小さいバストの方でも付けるブラのサイズは大き目に。男性のスラックスの胴囲は標準のままにしてウエスト・アジャスターを入れて太っても履けるようにしているものもある。

一言で言えば、いずれも「見栄っ張り」である。うまく見栄をくすぐるとその人はファンになってくれる。最初にリンクした記事ではVANITY SIZINGは消費者を混乱させるというネガティブな論調となっていたが、お客様の喜ぶ顔が目に浮かぶこのアプローチはなかなかやめられないのではないか。

心理学的アプローチをマーケティングや販売に展開する事例は多い。かなり昔からベーシックな考え方としてあるものをいくつか見てみよう。

アンカリング効果

アンカーとは「基準」のことである。私たちはモノゴトを考える時に何か基準を作って判断することが多い。その基準をお客様がはっきり持っていない場合、最初に提示する情報が暗黙のうちに「アンカー」になっていることが多い。

レストランに昼食を食べに行って「本日のランチ600円」という看板を見つけた。中に入ってメニューをみると「A定食 800円」「B定食 900円」「刺身定食 1,200円」、、、となっている。いつも1,000円前後のランチを食べているのにその日はやけにランチが高く感じてしまった。
「定価50,000円。本日特別割引25,000円。」こんなPOPはよく見かける。これはアンカーを50,000円にして、実売25,000円を安く見せる工夫。単に「本日特別割引25,000円」よりも値引き感が強く、購入者は多くなる。

認知的不協和理論

これはかなり昔から使われてきた考え方。人は2つの相互に反する事象を認識した時に不協和を感じ、その不協和を減らすための活動を積極的に行うというもの。

例えば、aメーカーのPCを購入した人(Aさん)がbメーカーのPCを使っている人(Bさん)から「このPCの方がかっこいいし、使いやすいよ」と言われた。すると、Aさんはインターネットで比較記事を探してきて、aが高く評価されている部分をじっくりと読んだりすることで自分がaを買ったことに自ら納得する。

メーカーは自社商品を買った人を放置しているといつ不協和を起こしているかわからない。だから、定期的にいろいろな視点からユーザに対して情報を提供し、自社製品を買った行為に対する不協和を解消する必要がある。顧客フォローとは何か不満を持ってからするのでは遅きに失することもある。未然に不協和を防ぐためにも顧客フォローは大切だ。

これら以外にもたくさんの心理学的アプローチがマーケティングや広告に活かされている。ときどき、なんで今こんなことしているのかあ、とその理由を振り返ってみると、知らず知らずのうちに心理学的行動をとっていることがきっとたくさんあるはずだ。

「サラダ」がオフィスで主食になる日

1月ほど前になるが、「サラダ専門店」という路上看板を見つけて、初めてサラダ専門店なるものに入った。

 Saladish http://www.saladish.jp/

店の特徴は以下の通り。

“サラダをサイドオーダーとしてではなく、メインディッシュとして提供することを目指した日本初のラップ&ボウルサラダ専門ファーストフード店です。30種類以上のトッピングと10種類以上のドレッシングの組み合わせによりあなただけのフレッシュサラダをお作りいたします。”

ラップとはサラダをトルティーヤに包んで食べるツーフィンガーフード、ボールはサラダそのもの。サラダ以外には野菜スムージーしかない店だ。イートインの席がいくつかと他はテイクアウト。男性客も多いらしい。ラップを頼んで食べてみたが結構なボリューム感を味わえた。

立地は茅場町、兜町のあたり。飲食店としてはオフィス街の二級立地。2014年5月30日オープンとのこと。

笑顔がステキな店員さん(店舗の写真は撮り忘れました)
Saladish Staff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで、「サラダ専門店」で検索してみると、オフィスワーカー向けのイートイン&テイクアウト業態の「サラダ専門店」がいくつか見つかった。

 SALADA TO GO http://www.saladish-salad.com/

 SALAD TO GO(サラトゥーゴー)は「働く人に健康的な食生活」をコンセプトにビジネス街でのテイクアウト用サラダやスムージーの販売を通して働く人の健康をサポート。新しいライフスタイルの提案として「主食サラダ」の文化を浸透していきたい。

ここは十六穀米おにぎりも売っているが、サラダを主食するコンセプトはSaladishと同じ。出店エリアはビジネス街でコンビニが3店以上あるエリアを狙う。なぜなら、コンビニでサラダを買うビジネスマンが多いことから、顕在化しているビジネスマン×サラダマーケットを狙うらしい。

狙われたコンビニサラダ
CVS Salada

店舗立地は神田駅徒歩5分。こちらは2014年6月オープンとのこと。

(WEBを見ていると以前はの店名はSaladishと表記していたらしい)

 サラダデリ・マルゴ http://margo.co.jp/

 マルゴは「自然まるごと、サラダサプリ」をコンセプトとしたサラダデリの専門店。 自然の恵みである野菜を食の主役に位置付け、国産の旬の野菜を中心にした栄養満点のサラダを提供。

店舗立地は西新宿。2010年10月オープンなのでサラダ専門店の草分け的店か。オフィスへの宅配や電話予約も実施中とのこと。

 

わがオフィスの近くにもいくつか「野菜×オフィス」をモチーフにした店舗がある。

ベジピア http://vegepeer.com/

野菜生搾りジュース専門店でテイクアウト業態。その特徴は次の通り。

・兵庫県産・西日本産の新鮮オーガニック野菜を中心に使用
・素材の成分を活かす低速回転ジューサーを使用
・オーダーを受けてから1杯ずつ作るこだわり志向
・水・砂糖・氷を一切使用しない本物の“生搾り”

Vegipia

店舗立地は六本木と赤坂の中間。アークヒルズフロントタワーのとなり。そして、ここも毎日オフィスにお届けするサービスがある。

Vege marche(ベジマルシェ)http://www.vege-marche.jp/

青果物卸のデリカフーズグループの関連会社が運営する店舗。

【食の薬局】として、健やかな毎日のために野菜や果物をはじめ、おいしくて体にいい食材と食べ方を提案する店。業務用「八百屋」を標榜する同社が提唱するオフィス用の「八百屋」である。サラダ専門ではないが、青果販売やスムージーの販売、ドライフルーツ販売の他に「野菜セミナー」なども開催している。

「八百屋」としての特徴は、野菜が持つチカラによって値段を決めていく、全く新しい視点で野菜に価格を付けて販売。野菜の機能性を『抗酸化力』『免疫力』『解毒力』の3つのカテゴリーに分け、その時に最もチカラがあるコーナーに野菜を並べて販売している。

Vegemarche

店舗立地は赤坂アークヒルズ内。オープンは2010年8月とこちらも古株。

オイシックスのサラダランチ https://www.oisix.com/salad/

サラダのオフィス向け宅配事業。サラダだけでもランチになるボリューミーなもの。定期デリバリー型(事前注文)と定期ストア型(職域販売型)がある。とりあえず販売可能エリアは都内のみ。

2014年5月開始。

このように眺めてみると、どの店もお客様は女性だけでなく、男性も視野に入れたメニュー構成となっている。男性もそれなりの比率でいるらしい。オフィスワーカーの昼食として「サラダ」「野菜」が本格的に市民権を獲得してきたといえる。農畜産業振興機構振興の調査によると、最も「カット野菜」を購入しているのは「独身・男性」とのこと。

Graff

平成25年3月 独立行政法人 農畜産業振興機構振興調査「カット野菜製造の実態と市場動向」(調査方法:インターネット調査 サンプル数:1,500サンプル)

しかしながら、各店舗のメニュー価格をみるとまだこなれていない。単品で600~1,000円くらいまでするのでちょっと頑張らないと一般オフィスワーカー、特に若い人の主食にはならない。そろそろ、チェーンオペレーションの大量仕入れによって低価格戦略で大手が参入してきてもおかしくない。

個人的には、(年季の入ったMacDonaldウォッチャーとして)、トンネルから抜け出せないで喘いでいるマクドナルドに(前社長が否定していたが)「ヘルシー路線」へ取り組んで貰って「サラダ」をコアメニューに入れた展開を是非検討してほしい。(すべてをヘルシーにする必要はありません。マクドナルドもヘルシーがあるなあと思ってもらえるメニューが欲しいだけです)

モスの「菜摘バーガー」なんていいなと思うのですが。

(参考)モスバーガーの菜摘バーガー http://www.mos.co.jp/cp/natsumi/140401/

製造業の小売ダイレクトビジネスの方向性

製造業のマスマーケティング

そもそも製造者による直接対面販売から始まった小売ビジネスは製造業のマスプロダクション志向に伴い、流通の進化、店舗の大型化、セルフセレクション業態の発生、などの変化を伴って進化してきた。

そして、マスプロダクション志向の製造業のマーケティングはマスマーケティングのルールに沿って展開され、それは次のように記述することができる。

マスマーケティングのビジネスは、小売店に「商品」を並べることから始まる。管理指標は配荷率であり、店頭フェイスシェアである。マスマーケティング事業の目的は商品の「購入」で、その事業支援プロセスは商品の「選択」の向上だ。

 製造業のダイレクトマーケティング

製造業がダイレクト販売に参入する理由はどんなことだろうか。

収益性を視点として産業をとらえる時に「スマイルカーブ」という考え方がある。成熟した世の中では、産業の上流(開発、設計、部品製造)~中流(製品製造)~下流(マーケティング、販売)に分類した時に、それぞれの収益性の高さをグラフにして表すと「スマイルマーク」のように上流と下流の収益性が高くなり、中流の収益性は低くなるという考え方だ。主に電子製品製造プロセスなどにおいて言われてきたことだが、多くの商品分野においても当てはまりそうな考え方だ。

ビジネスの上流では、製造業は製品の部品製造や原料の生産地を傘下に収める動きは当たり前のように行われている。(製造業の海外進出や自社生産工場の設立、契約農園や自社農園の拡大など)これらはバリューチェーンの中でトータルの収益を目指している動きである。

ビジネスの下流へも製造業は進出している。直営店ビジネスであったり、BtoCのダイレクト販売事業への参入であったりする。これも大手流通業に価格決定権を握られた製造業が、収益性の改善を求めた動きなのだろう。

収益源としてのダイレクトビジネス

ダイレクト販売事業への参入の目的がバリューチェーン全体における収益性の確保・改善にあるならば、それに適したダイレクト販売の事業モデルを組み立てる必要がある。

そのチェックポイントは次の通りとなる。

  1. 商品の収益性(適切な利益構造の構築)

  2. 付加価値の提供方法(顧客が納得する価値)

  3. 顧客の獲得方法

  4. 顧客の育成・維持方法

以上のチェックポイントを中心に組み立てた事業モデルをテストマーケティングしてみることが必要だ。その過程でそれぞれの最適化を図ることになる。テストマーケティングのKGIは収益性(一定期間の利益率)で、初期のファシリティ投資、システム投資などは当初は除外して考える。

弊社はこのようなテストマーケティングの支援実績を重ねており、その中で個々の企業や製品、事業環境に合わせた運用を行ってきている。

成功するダイレクトビジネス

テストマーケティングから導かれる成功の法則は少ない。それぞれの事業環境の影響が大きいからだ。しかし、共通項としては製造業のマスマーケティングに対して、ダイレクトマーケティングの根幹は以下のように記述できる。

ダイレクトマーケティングのビジネスは、「顧客」を並べることから始まる。管理指標は「顧客獲得コスト」であり、「LTV」である。そして、ダイレクトマーケティング事業の目的は顧客の「満足」で、その事業支援プロセスは「信頼」の構築だ。

製造業がダイレクトビジネスに参入する際には視点の転換が必要だ。

恋愛マーケティング論

もう、10年以上も前だが会社の社内研修で当時の同じセクションの女性スタッフが「4Pと3C」について、話をすることになった。その中で「3C」を「恋愛」になぞらえて考えてみようという趣旨で、以下のようなプレゼンボードを作ってわかりやすく説明してくれたのをよく憶えている。

●「3Cは三角関係」

3c-1

Company=自分、Competitor=ライバルとして、Customer=恋愛相手という三角形の構図

●「三角関係を分析しよう」

3c-2

 

まずは、Customer=恋愛相手の分析だ。「どういうタイプが好みなのか?」「どんなことで喜ぶのか?」「食べ物は何が好きか?」「どんな本を読んでいるのか?」「サッカーと野球ではどっちが好きか?」などなど。やはり、ここでも「ターゲット分析」「ターゲット理解」がまず最初に行われるという説明。

次いで、Competitor=ライバルの分析だ。「ライバルの強み・弱みは何か?」「ライバルはどんなアプローチをしているのか?」「そもそもライバルはどんな奴?年齢は?職業は?顔は?・・・」、さらに「ライバルと恋愛相手の関係はどんな感じ?知り合ってどのくらい?どのくらい会っているの?どこにデートに行ったの?」みたいなことはやはり知りたいことだ。

最後が、Company=自分の分析となる。「自分の強み・弱みは何か?」「ライバルとどうやって差別化しようか?」など。「自分のことなのでわかっている」とは考えずに、客観的に分析することがポイントだと指摘していたと思う。たとえば、「自分と恋愛相手の関係。これは現在どうなのか?知人、友人、恋人のどれ?」については、「恋愛相手がどう思っているのか」を知ることはもとより、「ライバルがどう思っているのか」「周りの第三者がどう思っているのか、どう見えているのか」も重要とのこと。なるほど、確かに「恋愛」は当事者間で感じているものとと周りからみた状態とはかなり違うし、周りの評価が当人同士の関係にいろいろ影響を与えるからね。

●マーケティングへの汎用化

3c-3

さて、「恋愛」に置き換えてみてきた「3C分析」をマーケティング分野の言葉に置き換えることで汎用化するとこうなるというチャートだ。マーケティングをやってきた人には馴染みがあるだろうが、上の2つのチャートと比べるとどうだろうか?

なんか、わかりづらい。見づらい。入ってこない。・・・と感じる。上の2つでは3Dで考えていたことが、最後のチャートでは2Dになってしまっている。

マーケティングは「人間」を対象としたものなのだから、「血が通っていないと」と再認識した時でした。

ちなみに、「初恋」だと少し様相が変わる。「初恋」には自分と恋愛相手しかいない。そこに競合相手はいないし、いても眼中に入らない。そして、戦術も「当たって砕けろ!」だけだ。

なんか、スタートアップのメーカーと「初恋」マーケティングは似ているかな。

売場の法則

家から近いこともあって、スーパーマーケットやGMSの食品フロアには毎週末に行くことが多い。時々、自宅用の買物は家の人に任せて人物観察、行動観察をすることがある。店の入口で少し前にいる人を見つけてその人がどの売場で何を買うのかを想像する。一人で来ているのか、夫婦なのか、家族で来ているのか。また、朝食はパン派か、ご飯派か。晩酌をするのか、どうか。旦那さんの好みが献立に反映されるか、どうか。などなど。そして、勝手な想像が当たると自分の推論というか考えている法則性に少し自信が出てくる。

さて、今日は私個人の法則ではなく、スーパーや小売店の売場で昔から言われている「法則」や「黄金律」の中からいくつか紹介しよう。

「野菜売場の5大効果」

なぜ、スーパーマーケットの入口付近には必ず果物・野菜売り場があるのか?その理由は諸説入り乱れているが、概ね以下のようなことだ。私は勝手に「野菜売場の5大効果」と呼んでいる。

  1. 果物のような色鮮やかなものがお店に入ったときに目に入ると、人は気持ちが高揚し購買意欲を高める効果がある。つまり、買物モードへの「誘い(いざない)効果」がある。
  2. 果物・野菜のように発色のよい食材は店全体の鮮度感を高める「フレッシュ効果」がある。
  3. 生鮮三品の中でも最も季節感がある食材なので、売場に季節を演出することができ購買意欲を掻き立てる「季節感効果」がある。
  4. 生鮮三品の中で肉と魚は同時に食卓に上がることはないが、野菜は必ず食卓に上がる。つまり、だれもが購入する野菜・果物を一番先に置くことで、最初の商品をかごに入れるまでの時間をできるだけ短くし、実質的な購買動線を長くする。そして、購入金額の上昇を目論む「動線延長効果」がある。
  5. 肉や魚の単品価格は高く、しかも家族人数分が必要なことが多い。これらを先に購入すると既にたくさん買ってしまったという感覚を持ってしまい、その後の買物が消極的になる。そのため、単価の低い野菜を入り口付近に置いて「満腹防止効果」を狙っている。

「ドロシーレーンの法則」

スーパーマーケットの価格戦略として昔から注目されているものがある。米国の高級スーパーの経験則から導き出された「ドロシーレーンの法則」と呼ばれる戦略だ。

  1.  100品目中の18%の商品を安くしたら、85%の顧客が安いと感じる。
  2.  100品目中の30%の商品を安くしたら、95%の顧客が安いと感じる。
  3.  100品目中の48%を安くしたら、ほぼ100%の顧客が安いと感じる。

つまり、競合する店よりも安いと思わせるためには全ての商品価格を安くする必要はなく、わずか18%の商品を安くするだけで85%もの人が安いと評価してくれる。そのための値下げする商品の割合をコントロールして「心理的な安さ」を訴える売価設定方法が「ドロシーレーンの法則」だ。

具体的には、競合する店に対して1番人気の商品の価格を少し安い価格設定にする。あるいは、高価格商品はそのままにしておき、一番安い商品の価格を競合店より下げるようなことである。家電量販店やスーパーなどが取り入れており、競合する店の価格調査をすれば最小限の値引きで最大の効果を得られるわけだ。この「ドロシーレーンの法則」を実践しているので有名なのが「ヤオコー」(埼玉地盤のSM)だ。それ以外にも地元で「あそこは安い」といわれている店は殆どこの法則に従った価格戦略を展開しているはずだ。

「 ジャムの法則」

「選択肢が多すぎると逆に選べなくなる」という買物実験で検証された法則がある。コロンビア大学の教授が提唱した「ジャムの法則」は、スーパーマーケットで行われた現場実験でした。一般的には売場面積や陳列フェイス数が多い方がそのカテゴリの商品の売上は高くなる。つまり、

「商品のアイテム数を数多く取り扱った方が売上が上がる。」

という仮説があった。

この実験では、6種類のジャムを売場に並べた場合、24種類のジャムを売り場に並べた場合を比較した。結果は、24種類を並べたケースは6種類を並べたケースの約10%しか売れなかったそうだ。

 「売場の法則」

以前、流通系雑誌のWEBサイトに掲載されていた内容からの抜粋で、社内研修でも10年以上も使ってきたものがある。

1.「客動線を長くすると売場への立寄率と購入点数が増えて、その店の客単価がアップする」

「野菜売場の5大効果」のところでも書いたが、客動線長と売上は相関関係にある。30年くらい前にイトーヨーカドーの5店舗で買物調査をしたことがあるが、売場面積の多い店(大きい店)ほど客単価が高かったのを覚えている。これはまさに客動線長と客単価の関係を表していた。

2.「店内に入って早い時点で商品を買うと、客動線が長くなり、買物点数が増える」

これも野菜売場の話と同じ話だが、実はこれに相反するように、売場の最初の部分は見過ごされやすいという経験則もある。そのため、売場の最初に安売り商品、チラシ商品を置いて目を惹いたり、目につきやすい商品を陳列することで視認性の高い売り場を作って客動線を長くする工夫をしている。

3.「消費者の約80%は店に入ってから購入商品を決めている」

計画購買をする人は少なく、店内で購入商品を決めている。店内での販促活動、いわゆるISM(インストア・マーチャンダイジング)の重要性を訴える根拠となっている。
これと合わせて、リストを持って来店する「計画購買型」の顧客の方が、「非計画型」の消費者よりも単価が高くなることが検証されている。
また、家族や友人と来店する人の方が、一人で来るお客様より客単価が高くなることが知られている。

 当たり前といえばそうだが、このようなことを事前に頭の片隅に入れて買物に行くのが私の買物を楽しむ、売場を理解する方法である。

サラダを食べても健康にはなれない日本人

1.健康になるために野菜を摂っているのに、野菜の消費量は減っている

日本人の野菜の消費量はこの40年くらいの間に年間119㎏から91㎏へと大幅に減少している。野菜に比べて、「牛乳・乳製品」「肉類」はその消費が伸長している。

素材別食料消費量推移

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野菜の種類別に増減の状況をみると、
だいこん、はくさい,きゅうりが減少
トマト、ブロッコリーは増加、または横ばい

増加、横ばいの品目をみるといわゆる緑黄色野菜で「サラダ」用の野菜だ。

品目別野菜消費量推移

 

2.サラダは増えているがサラダだけでは健康になれない

しかし、サラダの消費は健康ブームを背景に増加している。
家計調査によるとH7(1995)の812円/年からH23(2011)には1,019円/年まで伸長。

サラダ購入金額推移

 

健康志向、健康になる目的のためにはサラダを食べることだけでは覚束ない。1日に必要な野菜の量は350gといわれているが、実際、サラダはその見た目のボリューム感に比べて実際の重量は少ないので、野菜から1日にとるべき栄養素を確保できていない。

3.アメリカでは野菜の消費が伸びている

1980年代はアメリカの野菜消費量(1人当たり)は日本人のそれに比べて20%も低かった。
それが2009年では逆転して、アメリカ人の消費量の方が20%くらい高くなっている。

日米の野菜消費の格差

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 4.アメリカではなぜ野菜の消費が伸びたのか?

1980年以降にアメリカでおこった野菜消費を増加させる動きは以下の通り。

1) 所得向上(アメリカでも日本でも低所得層ほど野菜を摂取していない)
) 野菜生産量の増加による価格低下(大規模農業による生産性向上)
) 野菜物流の改善(コールドチェーンの確立、鮮度維持技術の向上)とカット野菜の普及
4) 野菜消費促進運動(ファイブ・ア・デイ プログラム=1日5サーブ以上の野菜をとろう)

 アメリカは 野菜生産の拡大→野菜価格の低下→野菜流通の改善→野菜摂取機会の拡大と産業側の努力もさることながら、ファイブ・ア・デイ プログラムのような野菜を食べる目的と食べる行為を結び付けたプログラムが運動として1990年代から浸透してきて、野菜全体の消費を下支えしている。 

もちろん、日本にもファイブ・ア・デイ協会(http://www.5aday.net/)があり普及活動はしているようだが、まだまだ消費を高めるところまでは行っていないようだ。

日本における野菜の普及は欧米の食生活を真似た食の洋風化によって進んでいるかと思ったが、実は形だけの洋風化では目的に対して逆行することになっている。

健康になるというフィロソフィーがないとサラダをいくら食べても駄目だな。

「予測」する分析と「理解」する分析

林知己夫先生

ずいぶん以前になるが、当時統計数理研究所の故・林知己夫先生の講義を聴いたことがある。統計数理研究所(統数研)はその当時有栖川公園のそばにあったように記憶している。
(現在は情報・システム研究機構・統計数理研究所として、立川にあるようだ。http://www.ism.ac.jp/access/index_j.html)
林先生は今でもそうだが統計学のレジェンドともいえる方で、林の数量化理論で有名だった。当時、独学で統計を学び始めた私にとって分かりづらい内容だったにもかかわらず、スーと入ってきた覚えがある。

林の数量化理論

林の数量化理論はⅠ類、Ⅱ類、Ⅲ類、Ⅳ類とあり、数値データではなく、調査などでよく使うカテゴリカル・データ(例えば、はい/いいえのような質的データや5段階尺度による評価データなども含む)による多変量解析メソッドだ。(実際はⅤ類以降もある。)

数値データの多変量解析との対応でいえば以下の通りだ。
林のⅠ類…回帰分析・重回帰分析
林のⅡ類…判別分析
林のⅢ類…因子分析・主成分分析
林のⅣ類…MDS(多次元尺度構成法)

Ⅰ類は回帰分析と同様に数値を予測するためのアプローチ、Ⅱ類はグループを予測するためのアプローチである。
Ⅲ類、Ⅳ類は構造を理解するためのアプローチとなる。

予測するアプローチ

予測するアプローチとは手元にあるデータ構造の延長線上に将来像を描くもので、Ⅰ類(数値予測)では売り上げ予測、来店客数予測、獲得シェア予測、新商品満足度予測など様々な活用目的がある。また、Ⅱ類(判別予測)では、支持政党予測、購入製品メーカー・ブランド予測、選択カラーリング予測、機能選択予測などの活用目的がある。

(数量化理論の中ではこれらは外的基準のあるケースとしてまとめられる。つまり、予測したい変数やカテゴリがあり、それを説明するためのデータがある)

予測というと未来を予測するように思われるが、これらのアプローチは説明するデータを変化させることで売上や来店客がどの程度増えるのかを計算することが目的となる。つまり、最終的に変化させたいもの(売上や客数など)を上げるために、どのデータをどの程度変化させればよいのかを構造的に理解することができ、データを変化させるために何をすればよいかを検討すればよい。

理解するアプローチ

構造を理解するアプローチとは、予測するアプローチには前提としてあったデータ構造、予測したいものとそれを説明するデータがない場合に用いる方法である。(数量化理論の中では外的基準のないケースとしてまとめられる。)
例えば、様々な価値観に関するデータがあって、それをベースにライフスタイル因子を抽出するケースなど。簡単にいえば、よりどころのないデータ群に2つの軸を直交させて引いて軸に意味を持たせることで全体を説明しようとするアプローチである。活用例としてはイメージ空間構成、ライフスタイル空間構成、ファッション空間構成などから、クラスター分析に進んでユーザ像のペルソナ開発を行い顧客理解を深めるケースなどがある。

林先生が数量化理論を提唱したのは半世紀以上も前だが、基本的なデータ分析、データへのアプローチは大きくはこの2つ、「予測」と「構造理解」だ。

 

ビッグデータを扱うと“すみっこ”の重要性がわかる

データ分析を長年にわたって行っている立場からすると昨今の「ビッグデータ」は2つの意味を持っていると感じる。

1.ハードウエアとソフトウエアの進化により数多くのデータを一時で分析することができるようになった。
→ しかし、ビッグデータから得られる結論はほとんど変わらない。つまり、ビッグでなくともスモールで得られる結論はスモールのままで分析する方が効率的。ゆえに「ビッグデータ」はBUZZワードに過ぎない。

2.ビッグデータを扱うことの背景にあるのは、マスマーケティングから1to1マーケティングに転換だ。マスマーケティングではアクセスコストの視点からマスボリュームにフォーカスした方が効率的だったが、1to1ではアクセスコストは平均化される。
→ ボリュームゾーンにフォーカスする必要がなく、価値の高い顧客にアクセスすることが重要になる

大切なお客様は“すみっこ”にいる

中学生のお年玉調査の結果をみると、今年のお年玉は平均33,450円、昨年より8%ダウンなどとコメントされてくる。(数値はダミー)
これだけだと情報量が少ないので、回答の分布をみると平均値(33,450円)あたりをピークとした正規分布に近いグラフになる。(正規分布とは平均値を中心に左右にデータの標準偏差の2倍をとるとその中にほぼ95%のデータが含まれるという理論的分布)調査データなどの数千人単位のデータでは「平均値」を代表値とすることでほぼ全体を表現できるのでこの正規分布を前提に考えている。正規

 

しかし、ビッグデータといえるかどうかは別としても、10万人、100万人単位でのデータを分析すると、「お年玉=0円」の子供がちいさな塊としていることがわかる。全く、お年玉をもらえない子供たちだ。また、それとは逆にお年玉に200万円、300万円もらいました、という子供もわずかながらいるのだ。上の正規分布のグラフで言うと95%の範囲の外側の話である。

一般的なデータ分析はそのような「すみっこ」回答は異常値として除外して集計したり、全体のサンプル数が多い場合は集計には含めるがあえて注目しないことが多い。なぜならば、分析の目的は大多数の人たちの平均像や考えていることを明らかにすることが多いからだ。
一般的なマーケティングの視点からすると重要な指標はマスである集団を代表する平均値であり、多くの人は平均値を知ると集団のすべてを知ったような気分になっている。

しかし、顧客とのリレーションやLTV(ライフタイム・バリュー)を重視するマーケティング(CRM)の視点からはそのようなデータの見方はしない。
“すみっこ”から順番に重要な顧客が並んでいるからだ。先程の「中学生のお年玉調査」でいえば200万円、300万円のお年玉を貰っている子供はモノを売る標的顧客としては最も魅力的だなわけだ。

「パレートの法則」という商売の原則を表した考え方がある。これは「上位20%の顧客が80%の売上を作っている」「店内の商品の20%で売上の80%を占める」など一般には「20:80の法則」とも呼ばれている。

「パレートの法則」を念頭に考えれば、着目すべきデータは下のグラフにある20%の範囲になる。無題

こうやって具体的に並べてみると当たり前だが、マスマーケティングの視点でCRMをとらえ始めると誤解することが多いのはこのようにフレーミングが違うからだ。
そして、世の中が成熟化してくれば来るほど平均値から顧客をとらえるマスマーケティングの効果は限定的となり、既存顧客との関係論を育成していくアプローチが求められ、そのようなCRMアプローチは平均値ではなく、正規分布で言えば山なりの両端の裾野の部分にいる人や異常値を示している人にまず着目するのである。

そのキーワードは次の通り。

真ん中より“すみっこ”

平均値より異常値

想定内より予想外

マスマーケティングの発想では正規分布の中央から全体をとらえようとする。
顧客マーケティングの発想では正規分布の“すみっこ”から20%に注目する。

最高のセールスマンとはアラブのお金持ちに水を売る人といわれたように、実はセールスマンは端っこを狙う。 それに対して、これまでのマーケティングはコツコツ真ん中から繰り返し繰り返し、電話をかけ、ダイレクトメールを送っている。

マーケティングは徐々にセールスを包括した概念になっている。
認知形成からリスト獲得だけ、アフターセールスのフォローや顧客満足形成がマーケティングだった時代から成果としてのセールスを求めるようになって久しい。

商品はどのようにして選ばれるのか?

私たちが普段商品を選ぶ時はいくつかの商品を比較してその中のどれかを買うことが多い。

例えば、スーパーに行って「めんつゆ」を購入する時、「めんつゆ」の並んでいる棚の前に行って並んでいる商品を眺める。別に買うブランドが事前に決まっているわけではないのでいろいろと棚に並んでいる商品を遠目から見比べ、気になったものを手に取ってみる。ラベルにどんなことが書かれているかを主に見る。メーカー名、ブランド名、キャッチコピー、、、、また、全体的的に訴えてくるイメージも気になる。後は容量と価格、また、減塩タイプかどうかの機能性も大事だ。いろいろな要素の中で何を重視しているのかは人それぞれ違うが、実は買った本人でも何をどのくらい重視したかは説明できないことが多い。
2014-03-01 14.45.29

 

車を買うときはどうだろうか。

新車の場合なら、事前に気になる車種をいくつかピックアップしてWEBサイトでその特徴やスペックを見ながら、2つ、3つの試乗にディーラーに出かける。そして見積を見比べながら試乗の感想やカタログを眺めてどれにするかを決める。
メーカーにこだわりのある人なら、メーカーが先に決まっていて、その中で車種を選ぶだろうし、車種を重視する人なら各メーカーのSUVの中からピックアップが始まることになる。

めんつゆでも車でも、消費者は多くの評価軸に基づいて商品を評価している。しかし、それぞれその評価軸の重要度は異なり、評価自体も異なる。

このような市場において、自社の商品は競合品と比べてどのようなポジションにあって強みはどこで弱みはどこか、を知りたい時によく行われる調査アプローチは、商品評価の項目を尺度化して(例えば5段階や7段階)その項目別に商品評価を調査する。その場合結果は項目別に出てくるので各項目間の重みなどは反映されていない。重みの低い項目で高い評価を得ても商品選択に与える影響は小さい。

そこで、評価軸の重みと個々の商品の評価を同時に取得・分析できる調査アプローチが『コンジョイント分析」である。
コンジョイント分析では商品評価の項目を「属性」、その中で商品の評価を「効用値」として表す。調査では商品を「属性」の組み合わせで表しダミーの商品群を作る。その商品群について「買いたい」ランキングを付けたり、評価をしてもらう。
その結果を専門の解析プログラムに入力することで結果を算出する。

さて、その分析結果である効用値のグラフを見てみると(データはダミー)

めんつゆ

 

 

 

 

 

 

 

 

めんつゆの場合は
CMを放映しているかどうか
特売をしているかどうか
が大きく商品選択に影響している。
また、合わせてメーカーとしてはC社が強く支持されている。
つまり、C社がCMを放映して店舗で特売を仕掛けると爆発的に売れるわけだ。

車

車の場合は
排気量と価格が効用値が大きく、商品選択に強く寄与していることがわかる。
排気量は小さい方またはHVが支持されて、価格は安い方が支持されている。特に価格は300万円を超えると極端に効用値が下がる傾向がある。

コンジョイント分析で上記のように選好構造がわかる。
さらに、算出された効用値を既存の商品に当てはめていけば、商品ごとに効用値を合算することができる。これは商品それぞれの商品力の指標となるので新商品を投入した際のシェアの変化をシミュレーションしたり、シェアを予測したりすることができる。
また、商品の機能・スペックを改善することで他商品に対して優位に立てるかどうかをシミュレーションすることもできる。

商品開発において、商品評価を平面的にとらえるだけではなく、どこかの局面で市場環境に近い中での消費者による選好情報をとらえることでよりリアリティの高い意思決定ができるはずである。